青森県八戸市から宮城県気仙沼市までの沿岸16市町村などで取り組む三陸ジオパーク構想が日本ジオパークに認定された24日、関係者は喜びに沸いた。東日本大震災からの復興につながる地域の活性化はもちろん、最終目標の世界ジオパーク認定に向け、地元は決意を新たにした。
戸羽太陸前高田市長は「震災遺構を見に訪れる人が減ってくる。震災遺構とジオサイトの両方を活用し、滞在型観光に結び付けば」と期待を寄せた。岩手県大槌町の沢田彰弘総合政策部長も「町の人口が減る中、交流人口の拡大に弾みがつく」と語った。
菅原茂気仙沼市長は「三陸地域が一丸となって観光振興に努め、震災復興の加速化につなげたい」と抱負を述べた。
小林真八戸市長は「5月に指定された三陸復興国立公園や、今秋に一部開通予定のみちのく潮風トレイルとともに新たな三陸地域の魅力になる」との談話を出した。
一方で、財政負担を伴う震災遺構の保存には懸念の声もある。大槌町は今回遺構に含まれた旧役場庁舎を一部保存する方針だが、町議会には解体を望む意見が多く結論は出ていない。津波で民宿に乗り上げ、既に解体された観光船はまゆりは、復元が実現するかどうかは寄付金頼みの状況だ。
沢田総合政策部長は「震災の記憶を語り継ぐ点で遺構が認定された意義は大きいが、一定の時期に削除してもらう場合もあり得る」と話した。