三陸沖のサンマとサバ、水揚げ明暗 高い海水温が影響

 三陸沖で最盛期を迎えたサンマとサバの水揚げが、明暗を分けている。海水温が例年より高く、魚群の南下が遅れているためとみられる。サンマは北海道沖から三陸沖に移り始めたが、女川魚市場(宮城県女川町)の水揚げ量は豊漁時の2割ほどに低迷する。サバは逆に、例年より長く三陸沖が主漁場となり、水揚げ拠点の石巻魚市場(宮城県石巻市)は大漁に沸く。
 女川魚市場には25日早朝、サンマ船5隻が計約500トンを水揚げした。前日は水揚げがなく、加藤実専務は「例年この時期は毎日水揚げがあるが、ことしは3日間ないこともある。こんな年は珍しい」と首をかしげる。
 今季の水揚げ量は23日現在約3700トン。豊漁だった2009年同期の約1万6500トンを大幅に下回り、東日本大震災の影響が尾を引いた昨年同期より約1000トン少ない。気仙沼や大船渡の魚市場も不調という。
 サンマの群れは例年、10月ごろには北海道沖から三陸沖に南下。漁船が入る港も三陸が主体になってくる。水産総合研究センター東北区水産研究所資源海洋部(青森県八戸市)によると、ことしは漁開始前から魚群が日本から離れた海域にいた上、三陸沿岸の海水温が高く、なかなか南下しなかった。
 燃油代などコストがかかるため、漁船は漁場から離れた海域に向かいにくく、相次ぐ台風の襲来も重なって水揚げは途切れがちになった。
 一方、石巻魚市場はサバの水揚げで活気づく。24日は巻き網船など10隻が、受け入れ限度に近い約1200トンを水揚げした。漁が本格化した9月からの水揚げ量は約7500トン。不漁だった昨年1年分(約7000トン)を既に上回った。
 同魚市場によると、例年この時期に茨城、千葉両県沖まで一気に南下する漁場が、今も金華山沖で形成されている。
 同魚市場の三浦信昭取締役営業部長は「サバの水揚げは震災前と同水準に戻りつつある。大型で脂が乗ったものが多く、ブランド魚『金華さば』として申し分ない」と質にも太鼓判を押した。

タイトルとURLをコピーしました