三陸道全通、工場立地など地域経済に好影響 市街地の渋滞緩和も

東日本大震災からの復興道路として整備され、昨年12月に全線開通した三陸沿岸道(約359キロ)について、東北地方整備局は周辺の交通状況や地域への波及効果に関する分析結果をまとめた。主要道からの乗り入れで市街地の渋滞が緩和。三陸道に直結する横軸の復興支援道路を含む沿線には、工場や道の駅の新設が相次ぎ、全通による地域経済への好影響を指摘した。

石巻市内の三陸沿岸道

 交通量は、10地点のデータを今年1月と震災前の2010年で比べた。2地点は横ばいだったものの、8地点が1・1~2・4倍に増えた。山道などが多い地域は三陸道に車が流れ、全体の通過台数も伸びた。

 沿線市街地は、震災前に常態化していた渋滞が緩和された。速度20キロ以下の車両が続く混雑区間を15年と21年で比べると、気仙沼市の国道45号は8・4キロから0・3キロ、宮古市の国道106号は5・2キロから0・6キロと大幅に短縮された。

 復興道路と復興支援道路の沿線では11~20年、工場の新増設が279件に上った。県別は宮城が176件(うち増設18件)、岩手が74件(12件)、青森が29件(4件)。気仙沼、石巻両市のインターチェンジ(IC)近くには水産加工団地が形成され、産業振興への貢献を強調した。

 震災後、沿線には道の駅が5カ所新設され、5カ所がリニューアルされた。全通で仙台市から八戸市までの所要時間が約3時間20分短縮され、観光客の行き来が増加。沿線に建設された震災伝承施設へのアクセスも良好なことから、教育旅行者の往来拡大による活性化の可能性に言及した。

 整備局の担当者は「道路は完成して終わりではなく、使ってこそ意味がある。今後も地元自治体と民間が連携し、道路を生かした地域活性化に力を注いでほしい」と話す。

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