ドラマ「恋はつづくよどこまでも」(TBS系)などに出演しブレイクを果たした女優・上白石萌音が、8月にオリジナルフルアルバム「note」を発売。野田洋次郎(RADWIMPS)、水野良樹(いきものがかり)ら豪華アーティストが制作に参加したことが大きな話題となった。他にも最近、清原果耶や森七菜ら若手の注目女優がこぞって音楽活動に力を入れ、新たな潮流となっている。 【写真を見る】上白石萌音、こぶしを振り上げ熱唱!圧巻の歌唱力で会場魅了 ■ 上戸彩、綾瀬はるか、新垣結衣も!かつては“定番パターン” 1990年代から2000年代まで、売り出し中の若手女優が音楽活動をすることは珍しくなく、ある種定番のパターンでもあった。 新垣結衣は2007年、初主演映画「恋するマドリ」の主題歌「メモリーズ」で歌手デビュー。その他、映画「恋空」の挿入歌「heavenly days」などを発表し、2010年までに4作のシングルと3作のアルバムをリリースしている。 「ドラゴン桜」(2005年、TBS系)や「マイ☆ボス マイ☆ヒーロー」(2006年、日本テレビ系)、「パパとムスメの7日間」(2007年、TBS系)などのドラマに出演しブレイクを果たした時期だった。 綾瀬はるかも、2006年に持田香織と小林武史プロデュースの「ピリオド」で音楽デビューし、2010年までに4作を発売している。他にも桐谷美玲、武井咲、波瑠らも若手時代に歌手活動をしていた。 また、1997年に広末涼子のデビューシングル「MajiでKoiする5秒前」が約60万枚の売り上げを記録し大ヒット。上戸彩は、2002年から2009年にかけてシングル16枚、アルバム6枚を、仲間由紀恵は1996年から2000年にかけてシングル7枚、アルバム1枚を発売するなど、本格的な音楽活動を行っていた。 ■ 2010年代に落ち着くも…令和に入り再びブームに 2010年代に入り、若手女優による音楽活動はあまり積極的に行われなくなった印象があったが、令和になり再びブームに。 映画「君の名は。」でヒロインの声を担当し、ドラマ「恋はつづくよどこまでも」(TBS系)で大きな話題を呼んだ上白石萌音は、2016年からカバーアルバムを出すなど活動を開始していたが、今年8月に初のオリジナルフルアルバム「note」をリリースし、音楽活動に本腰を入れた。 同アルバムの楽曲制作には、大橋トリオ、内澤崇仁(androp)、GLIM SPANKY、n-buna(ヨルシカ)、野田洋次郎(RADWIMPS)、水野良樹(いきものがかり)、YUKIら豪華アーティストが参加しており、力の入れようがうかがえる。 幼少期から、地元・鹿児島でミュージカルスクールに通っていたという経歴の持ち主で、その力強い歌唱力は抜群。公開中の映画「トロールズ ミュージック★パワー」の劇中でも美声を響かせている。 ■ 来年朝ドラヒロインも 来年春スタートの連続テレビ小説「おかえりモネ」(NHK総合)で主演を務める清原果耶。朝ドラ「あさが来た」(2015年-2016年)、「なつぞら」(2019年)で注目を集め、今秋から来年にかけて「望み」(10月9日公開)、「まともじゃないのは君も一緒」(11月公開)、「ジョゼと虎と魚たち」(12月25日公開)、「砕け散るところを見せてあげる」、「護られなかった者たちへ」など多くの映画への出演が決定している今大注目の女優だ。 そんな清原も、9月に1stシングル「今とあの頃の僕ら」をリリース。その中に収録されている楽曲「君に見せる景色」は、Coccoがプロデュースを手掛けた。 清原は所属事務所の先輩・Perfumeに憧れて芸能界入りし、元々は歌手志望だったという。歌唱力の高さもさることながら、透明感あふれる歌声で訴えかける表現力の高さも持っている。 ■ 「エール」で注目の森七菜はCMソングも話題に 映画「天気の子」(2019年)のヒロイン役や、連続テレビ小説「エール」(毎週月~土曜朝8:00-8:15ほか、NHK総合ほか)への出演で知名度を上げている森七菜。 10月20日(火)スタートのドラマ「この恋あたためますか」(毎週火曜夜10:00-10:57、TBS系)で、連ドラ初主演を務めるなど勢いに乗る森は、2019年に映画「ラストレター」で主題歌「カエルノウタ」を歌い、歌手としてメジャーデビュー。 瑞々しい歌声が、岩井俊二作詞、小林武史作曲のどこか非日常的な世界観にマッチ。カップリングに小泉今日子「あなたに会えてよかった」、荒井由実「返事はいらない」のカバーを収録。ジャケット写真とアーティスト写真は俳優・永瀬正敏が手掛ける豪華布陣のデビューシングルだった。 映画の撮影中にスタッフと行ったカラオケで、岩井俊二監督がその歌声を聴いたことがきっかけで主題歌アーティストに抜擢されたというだけあり、独特の引き込まれるような世界観を持った歌声が魅力。 また、大塚製薬「オロナミンC」のCMでは、ホフディランの名曲「スマイル」を“元気ハツラツ”に歌い、こちらも話題に。公開中の映画「青くて痛くて脆い」でも劇中で歌唱シーンがあり、ファンの心を掴んでいる。 ■ “声”が特徴的な福原遥 「3年A組」(2019年、日本テレビ系)、「ゆるキャン△」(テレビ東京系)など注目作品に続々出演している福原遥は、2019年8月に「未完成な光たち」で歌手デビュー。これまでにシングルを3作リリースするなど精力的に活動している。 子供向け料理番組「クッキンアイドル アイ!マイ!まいん!」にて、主人公の柊まいんとその声を演じ、声優を題材にしたドラマ「声ガール!」で地上波の連続テレビドラマ初主演を果たすなど、特徴的な“声”を持つ福原は、「BORUTO-ボルト-」「かぐや様は告らせたい?」などアニメ作品とのタイアップも積極的に行っている。 ■ アイドルブームの盛衰と因果関係? これまで見てきた通り、女優の音楽活動のブームには波があるが、それはアイドルブームの波と因果関係があるのではないだろうか。 音楽活動が活発だった1990年代から2000年代は、“アイドル冬の時代”と呼ばれる期間から、モーニング娘。がブレイクしながらもアイドルシーン全体で見ると停滞感があった時期と一致する。 逆に女優による音楽活動が少なかった2010年代は、アイドルブーム真っ盛り。AKB48がブレイクを果たし、ももいろクローバーZを筆頭に“アイドル戦国時代”と呼ばれる様々なグループが出現。坂道グループの台頭、ハロープロジェクトの再注目、個性豊かなライブアイドルが入り乱れるなど、アイドルシーン全体が大きく盛り上がっていた。 そして2020年代に入り、一段落ついた感のあるアイドルシーン。坂道グループなど大手アイドルグループは依然高い人気を誇っているが、中堅クラスでは解散するグループも多い。さらに昨今のコロナ禍が拍車をかけ、活動が制約されたことで一時期の勢いはなくなっている。 アイドルの祭典「TOKYO IDOL FESTIVAL」の出演グループ数も2016年の301組を最高に、ここ数年は200組強と減少傾向。新型コロナウイルスの影響でオンライン開催となった2020年は規模を縮小して開催された。 そして、アイドルが減ったことで開いた枠にまた女優の音楽活動が進出していると言えるのではないだろうか。さらなる女優アーティストの活躍と今後の動向に注目したい。(ザテレビジョン)