東北大は仙台市と連携し、下水から得られる感染症などに関する情報の活用を希望する自治体にコンサルティングを行う「東北大下水情報研究センター」を大学院工学研究科に設立した。2027年3月末まで設置する。
センター長に就いた佐野大輔教授(水質工学)の研究グループは仙台市南蒲生浄化センター(宮城野区)で下水を採取し、感染者の便に含まれる遺伝子の濃度からノロウイルスの流行や新型コロナウイルスの新規陽性者数を予測している。
注意喚起や政策決定の材料に
センターは下水情報を活用したい自治体の依頼を受け、調査内容の提案や調査結果の分析、分析会社への情報提供などを行う。市は下水サンプルを提供するほか、下水情報を活用する方法の検討に加わる。
下水調査は、PCR検査を受けていない人も含めた感染の流行や収束が検知でき、注意喚起や政策決定の検討材料になる。佐野教授は「保健所のない自治体は感染者情報を直接知ることができない。下水を自治体独自の情報として活用してほしい」と話す。