下水管の熱給湯に活用 積水化学と仙台市、実証研究

 下水道管を熱源にして給湯設備を稼働させるシステムの実証研究が、仙台市若林区のヨークベニマル若林店で始まった。開発者の積水化学工業(大阪)と仙台市との共同研究で、2015年3月までにデータを集め、実用性を見極める。
 システムは今月8日に稼働した。歩道下の下水管45メートルを熱源とし、店内で1日に使われる湯約4600リットルの全てを供給する。ガス給湯に比べ二酸化炭素の発生量は25%、電気料金は70%以上抑えられるという。
 下水管に取り付けた特殊なパイプが、年間を通して水温25~12度の下水が流れる管の熱を吸収して地上のポンプに運び、水道水を温める。東日本大震災で被災した下水道の復旧工事を進めた際、仙台市が管の有効活用策として事業化を目指すことになった。
 下水処理場などで下水熱を使った事例はあるが、下水管の熱を利用するケースは国内初になる。下水道管は広域的に張り巡らされており、実用化されれば、都市部の新たなエネルギー源として期待される。
 積水化学工業の環境・ライフラインカンパニー東北支店の久保善央バリューチェーン推進室長は「下水流量やエネルギー回収率の関係などを分析し、性能を高めたい。将来的には暖房施設の熱源にも利用できるよう研究を進める」と話した。

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