公正取引委員会が2009年度に下請法違反で是正を指導した東北の企業が計335社に上ったことが、同委東北事務所のまとめで分かった。前年度より70社多く、違反の対象をサービス業などにも拡大した04年度以降では最多。東北事務所は「景気低迷などで中小企業へのしわ寄せが強まったのではないか」とみている。
1社が複数の指導を受けたケースもあり、違反件数は延べ517件に達した。前年度比94件増で、業者数と同様に04年度以降で最も多かった。
業者数の県別内訳は宮城が85社で最多。次いで福島70社、山形58社、岩手47社、青森44社、秋田31社の順となった。
517件を違反の種類で分けると、口頭での業務発注や代金支払期日の未記載など「発注書類の不交付、不備」が最も多く、前年度比73件増の303件に上った。発注元の立場を利用した代金の「支払い遅延」は146件と、前年度の82件から大幅に増えた。
工作機械修理の業務委託内容を親事業者の都合で変更したにもかかわらず、生じた費用を下請け事業者に負担させていた「不当なやり直し」に当たる悪質なケースもあった。
東北事務所は「厳しい経済環境を受けて、下請けの中小企業にしわ寄せが来ている。09年度に事務所内に下請課を設置したことも、違反の掘り出しにつながった」と説明している。
公取委は毎年、資本金1000万円を超える親事業者と下請け事業者を書面調査した上で、違反の有無を調べており、09年度は親2224社、下請け5600社が対象となった。