不動産・住宅メーカー、中国進出活発化

不動産開発や住宅メーカー各社の中国進出が加速している。三井不動産販売は25日、北京市最大手の不動産仲介会社など2社と提携し、中国人向け不動産流通事業に進出すると発表した。東急不動産は上海市で日本人向け賃貸住宅管理事業に乗り出し、住宅メーカーでも大和ハウス工業に続き、積水ハウスが中国での住宅事業展開を模索している。
 少子化で日本国内の不動産・住宅市場の漸減が予想される中、収益をあげる市場を早期に育成し、国内減少分を穴埋めするのが狙いだ。
 ■アウトレット施設も
 三井不動産販売は、北京鏈家房地産経紀と大河通商と提携した。まず、提携企業の顧客ネットワークを活用し、中国本土に在住する富裕層向けに日本の不動産を紹介するサービスを展開する。さらに、中国人顧客との接点を拡大し、現地での不動産流通事業に乗り出す構えだ。
 三井不動産販売を傘下に置く三井不動産も中国進出を急ピッチで進める。2009年8月に上海に駐在員事務所を設立した後、上海市で住宅分譲事業などを展開。さらに今春には寧波(ニンポー)市内に、規格外商品などを割安販売するアウトレット施設の開業を予定しており、矢継ぎ早の投資拡大により中国での市場開拓を急ぐ。
 東急不動産は昨年12月に、上海市内の日本人専用の賃貸マンションの管理事業に進出した。まずリスクの低い日本人向け事業で中国ビジネスのノウハウを蓄積し、住宅開発事業の可能性などを検討するという。
 ■国内需要は先細り
 中国進出の動きは住宅メーカーでも広がっている。大和ハウスは大連、蘇州に加え、昨年11月には無錫市で住宅供給プロジェクトを始動させた。現地の高所得者層向けに売り込み、2010年~20年までの海外累計売上高で5000億円を目指している。
 積水ハウスは、中国・瀋陽市の都市開発事業に近く参入。住宅基本部材の工場を建設し、14年ごろをめどに商業施設やマンションなどを建設する計画だ。
 不動産、住宅各社が相次ぎ中国に進出するのは、将来的に日本国内の需要縮小が避けられないためだ。09年度の国内新設住宅着工は45年ぶりに80万戸を割り込み、今後も回復する見通しは難しい。
 一方、中国は10年の土地販売が前年比3割増の2兆元(約25兆円)に拡大した可能性が高い。不動産バブルに沸く中国の地価が今後、暴落するリスクはあるにしても、足元の中国需要を取り込むことが今後の成長戦略を描く上で欠かせず、不動産開発、住宅メーカー各社の進出をさらに後押ししそうだ。

タイトルとURLをコピーしました