不登校の原因や背景を詳細に把握するため、文部科学省は来年度、欠席が続く小中学生から学校などを介さずに、聞き取り調査を行う方針を固めた。不登校の児童生徒が5年連続で増加し、過去最多の14万人を超えている中、いじめや家庭状況などの背景を多面的に探ることで今後の対策につなげる。いじめとの関連検証
学校などを通さずに、文科省が児童生徒から実態を聞くのは初めて。民間の調査機関に委託して実施する。対象は数百人で、関連費用を概算要求に盛り込む。
背景にあるのは、いじめの認知件数が過去最多となっているのに対し、学校側が挙げる不登校の理由では、「いじめ」の割合が極めて低い状況にあることだ。
文科省では毎年、「問題行動・不登校調査」を行っており、不登校の要因は、「学業不振」「進路に係る不安」「いじめ」などの調査票に示された区分から、学校側が選択し、教育委員会経由で文科省に報告している。ただし、要因を児童生徒から聞き取っているケースは少ないという。
2017年度の同調査(複数回答)では「家庭状況」が36・5%と最多で、「友人関係」(26・0%)、「学業不振」(19・9%)が続き、「いじめ」はわずか0・5%で、723人だった。
これに対して、いじめの認知件数は同年度、小中学校で約39万8000件と過去最多を記録。「不登校の要因として挙げている数字と実態に大きな乖離(かいり)がある可能性がある」(文科省幹部)として、学校や教委を介さずに、児童生徒から聞き取ることを決めた。具体的な質問方法や項目は今後詰めていくが、学校や部活動での状況、教員や親との関係などについて選択式で尋ねることを検討している。
文科省では「不登校になった原因の本質を浮かび上がらせ、いじめの実態についても検証したい。いじめに伴う自殺という最悪の事態となることも防ぎたい」としている。
◆不登校=文部科学省は年間30日以上の欠席と定義するが、病気などの理由は除いている。同省の「問題行動・不登校調査」によると、2017年度は小中学校で14万4031人で、統計開始の1998年度以降で最多。中学生では31人に1人が不登校。