世界からセダンが無くなる日は来る? SUV人気衰えぬ中、生き残る術はあるのか

時代が変わるとニーズも変わる。「セダン信仰」が終わる日

 SUVがトレンドとなっている昨今ですが、その一方でセダンやステーションワゴンが年々減少しています。

 今後、これらのモデルは完全に姿を消してしまうのでしょうか。世界的に縮小傾向にあるセダン市場。生き残る術は、スポーティ寄りなモデルか。(画像はトヨタ「カムリ」) © くるまのニュース 提供 世界的に縮小傾向にあるセダン市場。生き残る術は、スポーティ寄りなモデルか。(画像はトヨタ「カムリ」) 世界的に縮小傾向にあるセダン市場。生き残る術は、スポーティ寄りなモデルか。(画像はトヨタ「カムリ」)

 30年ほど前には、「クルマといえばセダン」という俗にセダン信仰ともいえる時代もありました。

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 しかし、2020年11月には、トヨタの代表的セダンである「クラウン」の生産終了が報道されただけでなく、「アリオン」や「プレミオ」といった数少ないコンパクトセダンについては、トヨタから正式に生産終了が発表されました。

 ステーションワゴンも同様で、トヨタ「クラウン エステート」や日産「ステージア」といったモデルは生産終了して久しく、ホンダ「オデッセイ」やスバル「レガシィ」といったモデルは車名こそ継承されているものの、ステーションワゴンというカタチではなくなってしまいました。

 そして、アリオンやプレミオと同時に「プリウスα」の生産終了も決定したことで、現在、国産メーカーでステーションワゴンと呼べるものは、トヨタ「カローラツーリング」やマツダ「マツダ6 ワゴン」、スバル「レヴォーグ」、ホンダ「シャトル」といった限られたモデルとなっています。

 セダンやステーションワゴンといった言葉を厳密に定義することは難しい部分もあります。

 一般的にいえば、ボンネットとキャビンとトランクが独立しているクルマがセダンであり、セダンをベースにトランク部分をキャビンと一体化させたものがステーションワゴンであると呼んで差し支えないでしょう。

 1980年代後半から1990年代にかけてステーションワゴンが全盛期を迎えますが、2000年代に入るとセダンだけでなくステーションワゴンも徐々に下火になり、ミニバンやコンパクトカー、そしてSUVに対するニーズが高まり、現在に至ります。

 では、セダンやステーションワゴンは今後復権することはないのでしょうか。

 結論からいうと、ごく一部の車種以外でセダンやステーションワゴンが生き残る可能性はほとんどないといえます。

 そのヒントは、セダンやステーションワゴンを選ぶユーザーの声にあります。国産系の自動車業界関係者は次のように話します。

「セダンを選ぶお客さまは、『クルマといえばセダン』といった考えをお持ちの人や、単純にセダンが好きな人、あるいはセダンタイプの特定のモデルに興味をお持ちの人がほとんどです。つまりは、『指名買い』です。ステーションワゴンについても概ね同様です。

 一方、ミニバンやSUV,コンパクトカーを購入されるお客さまは、『多人数乗車をするから』、『取り回しがよく、運転しやすいほうが良いから』といったように、ボディタイプに起因する機能面を重視されるほうが少なくありません」

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 つまり、多人数乗車や大きな荷物を積みたいならミニバンやSUVのほうが合理的であり、反対に取り回しの良さやコストパフォーマンスの良さを求めるならコンパクトカーが適していると、ユーザーは考えるようです。

また、米国メーカーでもセダンラインナップを廃止または減少させる方針を打ち出し、代わりにSUVに注力するなど、世界的に見てセダンやステーションワゴンからSUVの流れは加速しているといえます。

指名買い以外でセダンやステーションワゴンを求める人のワケは?

 多くのユーザーは、日常の道具として十分な機能面を持っているかどうかが、クルマを選ぶ際の重要な判断基準となります。

 乗車人数や荷物の積載量、燃費、そして価格が重要な要素となるとされますが、セダンやステーションワゴンはミニバンやSUV、コンパクトカーに比べて、これらの要素で突出していないことから、検討段階で排除されてしまうというのが実情のようです。2020-2021日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞したスバル「レヴォーグ」。下火となるステーションワゴンで復活の兆しとなるか © くるまのニュース 提供 2020-2021日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞したスバル「レヴォーグ」。下火となるステーションワゴンで復活の兆しとなるか 2020-2021日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞したスバル「レヴォーグ」。下火となるステーションワゴンで復活の兆しとなるか

 一方で、「指名買い」以外でセダンやステーションワゴンを選択するユーザーにはある特徴があるようです。前出の国産系の自動車業界関係者は次のように話します。

「都心部のお客さまなど、全高に制限があるような駐車場を利用することが多いお客様はセダンやステーションワゴンを検討される傾向があります。

 全高155cm以上は『ハイルーフ車』となり駐車場所が制限されることがありますが、セダンやステーションワゴンであれば155cm以下であることからこうした制限を受けることがありません。

 それ以外では、試乗をしてセダンやステーションワゴンを選択される人もいらっしゃいます。

 重心が低い分、スポーティな走りが楽しめることを魅力に感じるようです。

 実際に、現在販売されているセダンやステーションワゴンは、スポーティな走りが魅力の『4ドアクーペ』のような印象のモデルが多くなっています」

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 長期的に見れば、世界的にもSUVが全盛であり、セダンやステーションワゴンの需要もSUVが担っていくと考えられます。

 一方、新型「ミライ」が流麗なセダンとして生まれ変わったり、レヴォーグが今年度の日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞したりするなど、セダンやステーションワゴンにとって明るいニュースもあるように、海外でも販売されるモデルやニッチな需要を担うモデルは、すぐに消えてしまうことはないでしょう。

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