世界に響け「Made in SENDAI」のエレキギター 仙台の老舗材木店が余った材料で製作

仙台市宮城野区の老舗材木店「フォレスティ峯岸」が、エレキギターの自社製作に挑んでいる。需要が伸び悩む木材業界を活気づけようと、2年前に社員が作り始めた。来年はニューヨークで開かれる北米最大の卸売り見本市に出品を計画。「メードイン仙台」の1本で世界に挑戦する。(編集部・中沢昂大)

 フォレスティ峯岸は1917年創業で、木材を仕入れ、工務店に販売する小売業。4代目の峯岸宏典社長(46)は創業100周年の2017年、社長に就任した。

 住宅市場が縮小して売り上げが伸び悩む中、峯岸さんはニュージーランド企業との取引開拓や新ブランド立ち上げなど意欲的に取り組んできた。

 ギター製作のきっかけは、2年前の発注ミスだった。商品運送を担当する佐藤真也さん(55)は、余った木材を何とかしようと思案。ロックが好きなこともあり、エレキギターの製作に着手した。

 仕事が終わった夕方から毎日約2時間、動画サイトを見ながら作業を進めた。会社ののこぎりやのみを使ってボディーとネックを仕上げ、最初の1本に約3カ月を要した。

 「初めて音が出た時には跳び上がった」と佐藤さん。峯岸さんは「本業とあまりにもかけ離れている」と感じたが、木目を生かしたデザインの2本目に心を動かされる。佐藤さんの熱意にも押され商品化を決めた。

来春にNYの見本市出品へ「次の100年に向けて挑戦したい」

 今年1月、宮城野区の夢メッセみやぎであったリフォーム展にギターを商品として出品。会場で生演奏を担当したプロの演奏者から好感触を得た。演奏には人垣ができ、2日間で3本が売れた。

 手応えを感じた峯岸さんらは「会社の次の100年に向けて新しい挑戦をしたい」と、来年2月にニューヨークで開かれる卸売り見本市「NY NOW」への出展を決めた。

 ギターには「SENDAI、JAPAN」のロゴを刻む。「手探りの挑戦だが、多くの人に仙台を知ってもらいたい」と峯岸さん。佐藤さんは「若い人に手に取ってほしい」と話す。ギターは9万円台からで、会社のオンラインショップで取り扱っている。

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