先週カジノを含む統合リゾート実施法案が可決された。実際にカジノが建設されるのは2020年代中頃という見方多い。
若い頃には海外旅行時や海外在住時に何度かカジノに足を運んだことがあったし、仕事ではカジノへの投融資は公益性から考えて如何なものか?などという議論をしたこともあった。しかし今はカジノへの関心は殆どない。東京近郊にカジノがオープンしても足を運ぶことはないだろう。
ということで有権者に甚だ評判の悪い統合リゾート法案(時事プレスによると反対62%賛成22%)について特段の意見がある訳ではない。
だが幾つかの点で不思議に思うことがある。
まず「ギャンブル依存症の対策として日本人客のカジノ入場は週3回、月10回までに制限し、1日あたり6千円の入場料を取る」ということだ。これではあまり日本人がカジノで落とすお金は期待できず、日本のカジノは全く外国人旅行者頼みということになる。
世界的に見ると地元民の入場を制限するカジノもあるようだが、私が行ったこののあるアメリカ東海岸のアトランティックっシティのカジノには全くそのような制限はなかった。アメリカのカジノというとラスベガスが有名(私は行ったことがない)だが、ラスベガスには無論そのような制限はなく、収入のかなりの部分はラスベガス近郊の住民やロスアンジェルス近郊の住民によって支えられていると思われる。
レストランの上層階などで行う小型のカジノの場合は「外国人旅行者オンリー」という営業でも成り立ちそうだが、大規模カジノの場合は地元民の参加なくしては回っていかないのではないか?と私は感じている。
ところが日本の統合型リゾートについて、開発運営の主体と目されるアメリカのカジノ会社は1プロジェクトに100億ドル(1.1兆円)の投資も辞さないと発言している。私は彼ら(カジノ会社)は一旦日本でカジノを開業すれば、あとはなし崩し的に日本人の参入障壁を下げることは可能だ位に考えているのではないかと邪推している。
次にカジノ産業の規模と日本のパチンコ業界の規模だ。公表されいる統計(レジャー白書など)によると、日本のパチンコ業界の規模は19兆円強であり、世界のカジノ業界の規模は18兆円程度と言われている。
パチンコは法的にはギャンブルに分類されないのでギャンブルであるカジノと比較するのはおかしいという見方もあるだろうが、実態面では景品を現金に替えている人が多いのでかなりの部分ギャンブルと見ておくのが正しいだろう。
仮にこの見方が正しいとすれば、日本のパチンコ業界は全世界のカジノ業界に匹敵しているということになる。
ではどうして日本のパチンコ業界はこのように大きいのか(最盛期の半分位になったそうだが)?
それはパチンコ屋が駅前に林立していて、行こうと思うとすぐ行けるからである。
一方私が2,3度訪れたことがあるアメリカ東海岸のカジノリゾート・アトランティックシティは、ニューヨーク郊外から車で2時間半~3時間位かかったと記憶しいる。とても会社の帰りに寄れる距離ではない。アメリカではギャンブルは隔離されたところでごくたまに行うものなのである。
それに較べるとターミナル駅周辺にパチンコ店が林立する日本はギャンブル好きには天国だろう。
手軽にパチンコや公営ギャンブルにアクセスできる環境が整っている日本だからギャンブル依存症が発生しやすいのではないか?などと考えている。
そして統合リゾート法案の前に、考えなければならない問題があったのではないか?とも考えている。