[シンガポール 18日 ロイター] – 世界のコンテナ船運賃が過去最高値に急騰している。新型コロナウイルスの影響で、欧米で商品在庫を補充する需要が増え、主要輸出港ではコンテナが不足しているほか、物流が変調をきたしているからだ。
12の主要なコンテナ船航路の運賃の加重平均であるフレイトス・バルチック国際コンテナ指数(FBX)は今週、40フィート(約12メートル)コンテナ1個当たり過去最高値の2359ドルを記録、7月1日以降、30%上昇している。
ライナー・リサーチ・サービシズのアナリストは「ロックダウン(封鎖措置)後の在庫補充、限定的な空輸能力、巣ごもり商品や防護具への需要増加、コンテナの深刻な不足が値上がりの原因となっている」と指摘。
リフィニティブ・アイコンのフレイトス・データによると、中国発米東海岸行きのコンテナ船運賃は今週、4750ドルを突破し、過去最高値を更新。7月以降42%値上がりしている。
中国発米西海岸行きの運賃は3878ドルと、7月1日以降50%近く上昇。
同アナリストは「アジアから米国までの太平洋航路は需要が最も大幅に増え、輸送量の伸びは昨年を10─20%上回っている。強い需要は現在、全ての貿易航路に波及している」とした。
コンテナ船の用船料(チャーター料)の指数であるハーペックス海運指数は7月から2倍に跳ね上がり、947ポイントと、2008年9月以来の高水準となっている。
商品在庫補充の需要に加え、通常は旅客便を使って商品を空輸する企業が減便によりコンテナ船の利用を増やしていることが運賃の上昇につながっている。コロナ対策のロックダウンによる物流の混乱でコンテナの世界での分布が不均等になっているという事情もある。
コンテナ船運賃は今年いっぱい高止まりすると見込まれているが、主要経済国でのコロナを巡る状況の変化で来年の運賃の動きに波乱が生じる可能性もある。
シーインテリジェンス・コンサルティングのラース・ジェンセン最高経営責任者(CEO)は「海運会社は来年の旧正月まで受注がいっぱいだとしているが、今年の3・4月に欧米の輸入業者が既に工場に発注していた商品を素早く取り消したことを忘れてはならない」と指摘。同氏によると、コロナ感染状況が悪化し、ロックダウンが強化され、景気の落ち込みが深刻になれば、消費者は支出を削減し、コンテナ輸送の需要が減るとみられる。
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