世界の物価を比較すると、それぞれの国の事情が見えてくる。そうして分かったのは、「日本は物価も給料も安い」という事実だった。大学初任給の比較では、韓国が驚くべき金額となった。
大 卒初任給は、国によってかなりばらつきがあった。それぞれの国で算定方法が違ったり、そういう調査自体がなく代用の数値を調べたりしたので、どこまで日本 人がイメージする「大卒初任給」と重なるものかは留保して見ておかなければならない。そのうえで見てみると、オーストラリアの約42万4千円を筆頭に、 フィンランドや韓国、ブラジルでも日本を上回った数値となっている。
オーストラリアは初任給を含めて全体に物価の高さが目立つ。
「こ の15年でこの国の経済は大きく変わりました。昔は何ごとものんびりしている世界の田舎という感じで、いつの時代の車かと疑問に思うようなオンボロ車が平 気で走っていましたが、いまは新車ばかりでベンツなどの高級外車も多い。昔盛んだった中古品のガレージセールも減りました」(柳沢有紀夫さん)
それもそのはず、2013年のIMFの統計によると、国民一人当たりのGDP(国内総生産)ではオーストラリアは世界5位。24位の日本を上回り、日本人 の1.7倍近くになっている。その分物価は急上昇しており、首都ではないブリスベンでも、何の変哲もない家が1億円ぐらいの値段なのがざらだという。
韓国の初任給もかなり高く、30万円を超えている。これは韓国経営者総協会のデータで、韓国の企業369社を対象にした2014年の数字だ。高さの理由は、これが正規雇用者のデータであるところだろう。
「サムスンのような財閥系の大企業トップ10での新卒初任給は50万円を超えるし、トップ30でも35万円はいくそうです」(中村恵実子さん)
※AERA 2015年1月19日号より抜粋