世界中からグルメが殺到、日本人が知らない隠れた地方の名店がこんなにある

日本人はあまり知らないが、いま、世界中から日本の食を求めて観光客が押し寄せている。それも、普通のツーリストとはちょっと違う。「フーディー」と言われる人々だ。直訳すれば食いしん坊だが、「フーディー」には特別な意味がある。

今度のインバウンド消費は本物! 世界中の美食家たちが日本を目指す新たなトレンド

「食のためには寸暇を惜しまず、お金もかけて、世界中のおいしいものを求めて旅する人のことをフーディーと言います。当然お金持ちも多く、中にはプライベートジェット機で回る人もいます。彼らの存在が明るみに出たきっかけは2014年に制作されたスウェーデンのドキュメンタリー映画【99分世界美味めぐり】だとされています。彼らはお金と時間だけでなく、独自のネットワーク、コミュニティを持っていて、おいしい店の情報はすぐに広まる。そんなフーディーたちの熱い視線が日本に注がれているのです」

 こう言うのは、このほど「『フーディー』が日本を再生する! ニッポン美食立国論 ──時代はガストロノミーツーリズム」(発行:日刊現代/発売:講談社)を著した日本ガストロノミー協会会長の柏原光太郎氏だ。柏原氏は長く文芸春秋で「東京いい店うまい店」の編集長を歴任するなど、食の仕事に関わってきた。今度の著書には「フーディーが日本を再生する」とサブタイトルにある。フーディーが押し寄せるような国、日本は美食で経済を立て直せるということだ。

 実際、フーディーたちは単においしいものを求める人ではない。食材、調理法を研究し、素晴らしい料理のために日々研鑽を積む人々を積極的に応援してくれる。そして、そうした料理人のことをもっと知りたいと願っているし、もっと世に知らしめたいとも思っている。彼らにとって、日本の料理人たちは「日本文化を代表するアーティストなのである。

日本人より海外フーディーのほうが情報通

「99分美味めぐり」の中には日本のレストランも登場した。「菊乃井」「鮨さいとう」「傳」「都寿司」だ。そんな店がいまや、日本中にあふれている。グルメならずとも、一度は味わってみたいものだ。そこで柏原さんにとっておきの店を紹介してもらった。

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「海外のフーディーが絶賛する日本のデスティネーションレストランはいくつもありますが、私が最初に挙げたいのは富山のレヴォです。富山駅から車で1時間半、富山一の豪雪地帯なのに彼らは真冬に車をチャーターして訪れます。料理はジビエから魚、野菜まですべて富山の食材を使ったイノベーティブ料理。谷口シェフによる、地元富山への思いのこもった料理です。滋賀県の余呉湖畔にある徳山鮓も隠れた料理店です。いまや世界的な料理トレンドになっている発酵をいち早く取り入れ、地元の名産である鮒寿司を使った料理は絶品です。いまや日本で食通を気取った人々よりも彼らのほうがよほど情報通なのです」

 ちょっと遠すぎるな、と思う方には東京近郊にも名店がある。鎌倉の中華「一凛はなれ」、スペイン料理店の「アンチョア」、「鎌倉北じま」。湯河原では日本料理の「加瀬」、「鮨こころ」、「バル・クラーベ」、「レストラン圓」、「瓢六亭」。茨城県土浦の日本料理「よし野」常陸大宮のスペイン料理「雪村庵」、つくばのイタリアン「GIGI」などなどだ。この本には巻末に索引もあるので便利である。

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