世界自然遺産登録「望ましくない」4割 西表島住民、観光客急増に不安

「奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島」の世界自然遺産登録に向け、沖縄県環境部が昨年秋に実施した住民アンケートで、登録は「全く望ましくない」「望ましくない」と答えた西表島住民が回答者の41%を占めたことが分かった。登録による観光客の急増で、自然の劣化や住環境の悪化を懸念する人が多かった。調査結果を受け、県などは適正利用に向けたルール策定や環境保全に関する情報発信を強化する。

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 26日、那覇市内であった環境省や県、地元自治体などの地域連絡会議で報告された。

西表島で「大変望ましい」「望ましい」と答えたのは28%にとどまった。国頭、大宜味、東のやんばる3村では、登録に否定的な回答は9%だったが、回収率が低く、関心のない層が一定数いる可能性があるという。

県によると、西表島では遺産登録が環境保全につながるとの認識はなく、期待が乏しかった。島の課題について海や山、川の劣化を挙げた人が最多で、ごみ問題や観光客のマナーの悪さが続いた。登録で期待できるのは「知名度が高まる」が約8割、「観光関連の収益増」が約7割だった。

一方で本島北部3村は、地域の課題として約7割が「人口減少・少子高齢化」、約4割が「経済活動の低迷」を挙げた。登録で期待できるのは「知名度が高まる」が約7割、「自然や動植物が守られる」が約6割。地域活性化に期待できると答えたのは3割程度にとどまった。

アンケートは、昨年9~10月に配布し、西表島で252人(回収率20%)、3村で462人(同9%)が回答した。県は来年度も継続し、地域住民の懸念や要望を把握する考え。

遺産登録の可否は6月下旬からバーレーンである第42回世界遺産委員会で決まる。県は登録決定の瞬間を中継するパブリック・ビューイングを実施する方針。

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