世界農業遺産に大崎耕土 FAO認定、東北初

農林水産省は12日、宮城県大崎地方の水田農業地帯「大崎耕土」が国連食糧農業機関(FAO)の世界農業遺産に認定されたと発表した。歴史的な農産文化と景観、生物多様性を維持する生産の仕組みなどから認定が妥当と判断された。国内では9地域目で、東北からの認定は初めて。
同日未明、FAOが公表した。大崎耕土については、「『大崎耕土』の巧みな水管理による水田農業システム」として農水省が創設した世界農業遺産の国内版の「日本農業遺産」に今年3月に認定。同9月、農水省がFAOに世界農業遺産の認定を申請していた。
「大崎耕土」は面積約3万ヘクタールで、大崎市と美里、涌谷、加美、色麻の近隣4町にまたがる。古くから続く水管理や家屋を取り囲む屋敷林「居久根(いぐね)」などを生かした先人の知恵で、冷害や洪水、渇水を克服して良質米を生産しつつ、田に集まる動植物などに配慮した生物多様性を維持する農業にも取り組んでいる。
10月に認定の可否を審査するFAOの世界農業遺産科学助言グループの2委員が現地調査し、「認定の要件を備えている」と高評価を与えていた。
大崎耕土については、1市4町などでつくる大崎地域世界農業遺産推進協議会(会長・伊藤康志大崎市長)が2014年に「水鳥を育む湿地」に焦点を当てて認定申請を目指したが、申請条件となる農水省の承認を得ることができなかった。その後、地域で継承してきた高度な水管理などの特長を強調し、再挑戦していた。

[世界農業遺産]伝統的農林水産業とそれによって育まれた文化と景観、生態系を保全し、次世代へ継承するため、重要な地域を認定する仕組み。国連食糧農業機関(FAO)が2002年に創設した。これまでに19カ国の44地域が認定されていた。日本では「能登の里山里海」(石川県)「トキと共生する佐渡の里山」(新潟県)など8地域が既に認定を受けている。

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