世界の都市の総合力を民間のシンクタンクが採点したランキングが公表され、東京は海外からの訪問者数の増加などによって、去年に引き続いて3位を維持し、2位のニューヨークとの差を縮めました。
民間のシンクタンク「都市戦略研究所」は、世界の主要な都市を対象に毎年、経済や文化・交流、居住や交通・アクセスなどの6つの分野で、都市の総合力を採点していて、ことしは44の都市を対象にランキングを公表しました。
東京は、6年連続で1位となったロンドンとニューヨークに次ぐ3位で、初めてパリを抜いた去年の順位を維持しました。
研究所によりますと、東京は、ロンドンやニューヨークと比べて弱い「文化・交流」の分野が、海外からの訪問者数の増加などによって上昇傾向にあるほか、国際線の直行便が就航している都市の数が増えるなど「交通・アクセス」の分野で評価を高めているとして、2位のニューヨークとの差を縮めたということです。
ランキング作成の責任者である明治大学公共政策大学院の市川宏雄教授は「さまざまな規制改革が行われる国家戦略特区がやや足踏み状態だが、2020年のオリンピックに向けていろいろな政策が進めば、東京が2番になることもありえる」と話しています。
都市名 | 総合スコア | |
1位 | ロンドン(1位) | 1560.1 |
2位 | ニューヨーク(2位) | 1386.3 |
3位 | 東京(3位) | 1354.7 |
4位 | パリ(4位) | 1282.1 |
5位 | シンガポール(5位) | 1224.6 |
6位 | ソウル(6位) | 1143.5 |
7位 | アムステルダム(8位) | 1129.8 |
8位 | ベルリン(9位) | 1107.8 |
9位 | 香港(7位) | 1090.1 |
10位 | シドニー(14位) | 1078.0 |
(注)()は昨年の順位
世界の都市総合力ランキングって?
採点は、経済、研究・開発、文化・交流、居住、環境、交通・アクセスの6つの分野で行われ、それぞれ細かな指標に基づいて点数がつけられます。例えば「交通・アクセス」の指標では、国内線と国際線の旅客数、公共交通の充実・正確さ、通勤・通学の利便性といったものがあります。
ことしで10年目となった「世界の都市総合力ランキング」の、ことしのポイントを見ていきます。1位は、4回目まではアメリカのニューヨークでしたが、5回目からはイギリスのロンドンで、ことしもロンドンがトップを守りました。東京は、おととしまで4位でしたが、去年初めてフランスのパリを抜いて3位に浮上。ことしも3位を維持し、2位のニューヨークに迫りつつあります。
点数が下がった分野もある中で3位を維持した要因の1つが、「文化・交流」の分野で、去年の5位から4位に順位を上げたことです。海外から訪れる外国人が増え関連する点数が伸びたことや、美術館・博物館などの「集客施設」で点数を上げたことなどが背景にあるということです。さらに東京は、「食事の魅力」や「買い物の魅力」でも高い評価を受けたということです。
「文化・交流」の分野は、東京がさらに上位を目指すうえでの課題にもなっています。東京は、去年より点数が上がりましたが、それでも、1位のロンドンや2位のニューヨークと比べると、まだかなりの差があります。3年後の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、外国人旅行客の受け入れ態勢を整え、「おもてなし」にさらに磨きをかけることが、上位の都市に追いつくことにつながりそうです。