ヒトの生態の話。
以下、利き手を右手と設定した内容となります。
東京大学大学院教育学研究科は、「両手を動かした際、非利き手の左手は右手の動きに反応して柔軟に動きを調節し、またその学習能力も高いこと」を発表しました。
これまで、左手は右手よりも動きの正確性や能力・パワーも劣っているなど、優位な点が見つかっていませんでした。実際に、右手は多くの場合メインの動きを担い、左手はそれをサポートするのが主体になっています。こちらの手がメインになる場面はごく稀。
今回の研究ではマニピュランダムという特殊な装置を被験者に両手で操作させる、まるでシューティングゲームのようなスタイルが採用されました。実験の途中で被験者に外乱負荷を加え、カーソルを自在に操作できなくします。被験者はミッションを妨害されると、それを克服するために練習及び試行錯誤を繰り返し、再び自由に操作できるようになっていきます。この一連の流れから左右の手における学習能力等を計るというものでした。研究チームは、これ以外にも各腕の環境適応能力や学習能力を計る実験を行ったそうです。
これらの実験から、左手は両手を動かした場合に右手を上回る能力を発揮することがわかったのです。それは柔軟に動きを調節してサポートする力に長け、そのフレキシブルさは右手から学習していること。「右手は能動的、左手は受動的」とも言えるでしょう。もちろん、この「左手の優越」は右手の動作ありきの特殊な能力ですが、その力はすさまじく右手と比較して約2倍の学習量をほこったといいます。
左手はただ右手を支えるだけではなく、しっかりとした受動的な能力を持つこと。そして左右の手でそれぞれの優位性を持つことがわかりました。
この研究結果は、より効率的なリハビリをはじめ運動スキルの体得術の開発などに応用されていくんだそうですよ。
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source: 東京大学 プレスリリース