両陛下きょうから宮城ご訪問 ハンセン病ご慰問半世紀 全療養所入所者とご面会

天皇、皇后両陛下は22~24日の日程で宮城県を訪問し、初日の22日、国立ハンセン病療養所「東北新生(しんせい)園」を訪ねられる。皇太子同妃時代に初めてハンセン病療養所を訪ねられてから約半世紀。今回のご訪問で、全国に14カ所(国立13、私立1)ある全療養所の入所者との面会を果たされることになる。
 宮城訪問は東日本大震災の被災地の復興状況ご視察が主目的だが、宮内庁の風岡典之長官は「まだ訪れていない療養所を訪問したいという強いお気持ちがあり、実現した」と話す。
 初のご訪問は46年前の昭和43年、奄美和光園(鹿児島県)。病だけでなく、国の長年の強制隔離政策のもとで偏見と差別にも苦しんだ人々に、温かく接してこられた。入所者には家族とも縁を絶たれたり、改名を迫られたりした人もいる。完治しても入所を続けざるを得ず、療養所内に納骨される人が今もいるという。
 両陛下は皇居・御所に関係者を招いて説明も聞かれた。平成16年、皇后さまに高齢化する入所者の現状を話した当時の邑久(おく)光明園(岡山県)園長、牧野正直さん(71)は「『陛下は(同園に)行きたいと常々おっしゃっています』と話してくださった」と振り返る。
 実際に両陛下は翌年の岡山訪問時に足を運び、入所者の手を握りながら話をされた。「つらい思いをした入所者に、同じ高さの目線で向き合ってくださった」。牧野さんは語る。
 香川県の大島青松園(せいしょうえん)は、直接のご訪問が唯一かなわなかった。離島で大型船が接岸できないためだが、側近によると、両陛下は「どうしてもだめなのか」と、何度もお尋ねになったという。
 代わりに平成16年10月の同県入りの際、高松市内に出向いた入所者と懇談の場を持たれた。その2日後には、通常の航路を離れて島に近寄った船から、浜辺に並んだ入所者らに手を振って応えられた。
 初のご訪問となる東北新生園だが、皇后さまは8年前、御所で横田隆園長に「どうすれば新生園のみなさんのお役に立てるでしょうか」と尋ねられていたという。
 両陛下は今回、入所者と懇談するとともに、園内の霊安堂へ供花される。

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