並べた途端にすぐ完売 仙台でもやはりコメは品薄 でも…

仙台市内のスーパーや直売所でコメが品薄になっている。入荷量は大きく変わらないものの、一時的な需要増からすぐに売り切れ、購入数を制限する動きが広がる。首都圏などで地震に備えた買いだめなどがあり、宮城県産米が県外に流れた可能性もある。ただ、間もなく収穫期の2024年産米は収量、品質とも良好とみられる。流通すれば品薄は解消しそうで、関係者は冷静な対応を呼びかける。
(経済部・菊間深哉、庄子鉄平、水内杜子)

間もなく新米流通 冷静な対応を

 JA仙台が運営する宮城野区の直売所「たなばたけ高砂店」は8月に入り、週末に向けて店頭にコメを並べるとすぐに完売し、平日は棚にもち米しかない状況が続く。玄米を量り売りし、その場で精米するサービスはお盆前に休止した。

 佐藤健生店長は「全国的にコメが足りないと報道され、消費者に『備えておかないと…』という心理が働き、一時的に需要が高まっているのだろう」とみる。

 若林区のスーパー「生鮮館むらぬし」は1週間ほど前から5キロと10キロのコメが欠品。一部銘柄の2キロだけが残り、購入は1家族につき1点までと制限している。担当者は「新米の入荷予定はあるものの、時期は明言できない」と話す。

 ウジエスーパー(宮城県登米市)も7月後半からは1家族2点まで。担当者は「2キロと5キロはかろうじて残っているが、新米が出回る時期まで在庫が持つかどうか不安だ」と明かす。

 コメの需要は全国的に高まっている。アイリスオーヤマによると、同社の精米の売上高は8月22日時点で前年の約1・2倍に増加。南海トラフ臨時情報(巨大地震注意)が発表された8~15日の売上高は、前年同期の1・4倍に膨らんだ。

 JA関係者によると、首都圏や西日本では消費者が買いだめする動きもあった。品不足に陥り、東北からもコメが流れたとみられる。

 首都圏で人気の高い新潟県産コシヒカリが、昨年の高温障害で品質が低下したため、代替品として宮城県産ひとめぼれの需要が高まり、産地のコメ不足につながったと見る向きもある。

 みやぎ生協(仙台市)は提携する農家から直接コメを仕入れており、在庫は確保できているという。広報担当者は「購入制限などは特にしていない。消費者を不安にさせないよう大騒ぎはしない」と説明する。

 24年産米は昨年に比べて適度に雨が降り、猛暑の影響も少なく、上々の出来になると期待されている。

 JA全農みやぎの佐々木利幸米穀部長は「コンビニからおにぎりや弁当が消えておらず、コメがないわけではない。仙台では9月中旬ごろから新米が出回り始めるので、不足感は落ち着くだろう」と見通した。

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