中古車の対ロシア輸出規制を強化、経済制裁で米欧と足並み…排気量1900cc超が対象に

政府は、ウクライナ侵略を続けるロシアへの追加制裁として、中古車も含めた乗用車の輸出規制を大幅に強化する方針であることがわかった。ロシアでは、品質が良く値崩れしにくい日本の中古車の人気が高い。日本は、米国や欧州連合(EU)と足並みをそろえ、経済制裁の効果を高める。

 外国為替及び外国貿易法(外為法)に基づく輸出貿易管理令の改正を7月中にも閣議決定し、早ければ8月上旬にも適用される見通しだ。

 日本は昨年4月から、600万円を超える高級車のロシアへの輸出を禁止してきた。今回は新たに、排気量1900ccを超えるガソリン車とディーゼル車に加え、すべてのハイブリッド車とプラグインハイブリッド車、電気自動車(EV)を禁輸対象とする。

 財務省の貿易統計によると、2022年の日本からロシアへの輸出額は、前年比約3割減の約6000億円だった。このうち、中古車は20万台、約2500億円で、日本からの輸出額全体(約9600億円)の4分の1を占めた。

 規制の強化によって、ロシアに輸出できる中古車は一部の小型車などに絞られ、輸出額は半分以下の1000億円程度に縮小するとみられる。ロシアへの輸出が減れば、日本で流通する中古車が増え、長い目でみると、販売価格の低下につながる可能性もある。

 5月に広島で開かれた先進7か国首脳会議(G7サミット)は、ウクライナに関する首脳声明で、「ロシアの侵略に重要な全ての品目の輸出が制限されることを確保するため、行動を拡大する」と明記した。

 この動きに呼応して、米国は5月、禁輸対象を全ての乗用車に拡大することを決めた。EUも6月に、1900ccを超える乗用車に対象を広げると表明している。

 日本政府はこれまで、プーチン政権の幹部や政権を資金面で支える新興財閥「オリガルヒ」への圧力を高めるため、ぜいたく品の高級車に限って輸出を制限してきたが、対象の拡大が必要だと判断したとみられる。

 各国の自動車メーカーは、ウクライナの侵略が始まり、相次いでロシアでの生産停止や事業撤退を決めており、ロシア国内では新車不足が顕著になっている。日本政府関係者によると、日本の中古車をロシアが軍事目的で使っているとの懸念も出ていたという。

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