【上海=河崎真澄】中国当局が国内のインターネット音楽サイトに対し、台湾や香港などの歌手が歌う中国語の楽曲70曲と、平井堅やレディー・ガガなど海外の人気歌手の30曲を合わせた100の楽曲を9月15日までに削除し、ダウンロードできないようにするよう命じたことが分かった。
歌詞が当局の検閲を経ておらず、「国家の文化安全に危害を及ぼす」と説明している。だが、やり玉に挙げられた平井堅の「いとしき日々よ」には、ネットユーザーが「別れの心情をつづった歌詞が誰に危害を及ぼすのか?」と反発するなど、不明確な“ブラックリスト”の基準に不満の声も上がっている。
リストには2000年5月に、台湾独立を党綱領に掲げた民主進歩党の陳水扁総統(当時)の就任式典に請われ「中華民国国歌」を歌ったため、中国で「台湾独立派」とされた台湾先住民出身の女性歌手、張恵妹の歌も3曲含まれている。
日本語曲は倉木麻衣の「もう一度」などを合わせて5曲、レディー・ガガに加え、米男性ポップアイドルのバックストリート・ボーイズなど欧米系25曲もリストされた。
削除命令を出した中国文化省では、「インターネット文化管理暫定規定」を根拠に「ネット音楽市場の秩序を混乱させた」などと指摘。違法音楽サイトや海賊版の取り締まりの側面があることも示唆している。