電通が世界24カ国の「デジタルニーズ充足度」を発表した。オックスフォード大学研究機関のオックスフォード・エコノミクスと共同調査による結果。中国は第1位、日本は最下位だった。調査対象国は米国や英国、ドイツ、フランスなどいわゆる先進国のほか、メキシコ、ブラジル、タイ、ロシアなど新興国あるいは開発途上国も含まれる。
「デジタルニーズ充足度」は、「基本的ニーズ」「心理的ニーズ」「自己実現ニーズ」「社会課題関係ニーズ」の4項目の充足度をそれぞれ評価した。中国は「心理的ニーズ」の充足度が27%と低かった以外は「基本的ニーズ」が69%、「自己実現ニーズ」が62%、「社会課題関係ニーズ」が76%と、いずれもトップクラスだった。
24カ国平均では、「基本的ニーズ」のが49%、「心理的ニーズ」が38%、「自己実現ニーズ」が45%、「社会課題関係ニーズ」が49%だった。日本は4項目すべてが世界最低ランクで、「基本的ニーズ」の充足度が29%、「心理的ニーズ」が26%、「自己実現ニーズ」が21%、「社会課題関係ニーズ」が32%だったいずれも24カ国平均よりも12~24ポイント低かった。
日本の場合、「基本的ニーズ」については、デジタル関連の利用しやすさを評価する人が少なく、企業・政府による個人データの取り扱いに対する信頼も低く、「心理的ニーズ」ではデジタルに対する行動を変えようとする人が少なく、「自己実現ニーズ」ではデジタルスキルが正しく利用され、役立っていると考える人が少ない、さらに「社会課題解決ニーズ」では、5~10年後にデジタル技術が社会によい影響をもたらすと考える人も少ないという。
ただし、電通は「世界24カ国の5割未満の人しかデジタルニーズが満たされていない」と指摘。デジタル経済が進展する中で、人々の実際のニーズは見過ごされていると評した。
電通は、社会や人々に貢献するデジタル経済の構築の度合いを示す「デジタル社会指標」も発表した。トップはシンガポールで、米国、中国の順で続いた。日本は22位だった。同指標が日本より下だったのはロシアとブラジルだった。
上記調査は電通の海外本社である「電通イージス・ネットワーク」(英ロンドン市)がオックスフォード大学の研究機関であるオックスフォード・エコノミクスと共同で、世界24カ国、4万3000人に自国についての状況を回答してもらう形式でデータを収集し、結果を分析した。(編集/如月隼人)