2023年7月6日、中国新聞網は、本来高齢者向けに販売されている電動車いすが近ごろ中国の若者の間で人気になっていると報じた。
記事は「今や電動車いすは、足の不自由な高齢者専用の移動手段ではなくなった」とし、SNS上では大学や食堂、ショッピングモールなどで電動車いすに乗って移動する若者を撮影した動画が拡散していると伝えた。
また、ECプラットフォームでは電動車いすに興味を持つ消費者による問い合わせが増えており、「病気のない若者でも買えるのか」「大学生でも利用できるのか」「食堂に移動するのに使いたい」「楽に外出できる」などの声が寄せられていると紹介。中には「どんなソファーよりもずっと快適で、移動もできて、座れて、寝そべることもできる。まさに『人間工学的』だ」などと語る消費者さえいるとした。
そして、京東保健のデータによると、2023年上半期の電動車いすの注文数が前年同期比60%以上増加しており、人気上昇に伴って、従来から電動車いすを製造している医療機器メーカーだけでなく、IT企業や自転車メーカーなどさまざまな業種から電動車いすへの参入が相次いでいると伝えた。
電動車いすの販売業者によると、電動車いすは医療機器に当たり、公道上でも利用できるという。一般的な速度は時速1.2〜6キロで、高齢者の歩行速度から健常者の小走り程度まで5段階で速度調節が可能。また、大容量のバッテリーに交換することで、通勤などの長い距離にも利用できるようになるという。
記事は、ネットユーザーから「電動バイクと違って電動車いすは登録が不要で使い勝手がよく、歩道を走行できる、ヘルメットをかぶる必要がない、そして安価であるといったメリットがある」との声が寄せられていると紹介した。また、交通警察当局に問い合わせたところ「交通管制の対象として登録が必要なのはガソリンを燃料とする障害者用機動車いすのみ。電動車いすは交通工具に含まれないため、原動機付自転車および非原動機付自動車の規制も受けない」との回答があり、道路交通法規上では誰でも気軽に「足代わり」として電動車いすを利用できることを伝えた。
一方で「電動車いすでの移動は決してルール違反ではないものの、道路のスムーズな流れに影響を与え、多くの公共資源を占用することになるため、若者が電動車いすを使うことを奨励すべきではない」との意見も出ていることを併せて紹介している。(翻訳・編集/川尻)