2018年3月10日、英BBC中国語版ウェブサイトは、中国で問題になっている「精神日本人」について紹介する記事を掲載した。
記事は「精神日本人」の定義について「日本の技術や文化を崇拝する者でもなく、日中友好の親日家でもなく、日本の右翼と同じ精神構造を持っている者を指すようだ。日本の軍国主義、ファシズム、大和民族や武士道の精神を宣揚し、中華民族の英雄を侮辱したり、民族の傷をジョークのネタにする」と分析した。
そして「このような『精神日本人』は主にインターネット上に存在し、SNSで過激な言論や写真、動画を拡散させ、ネットユーザーから注目を浴びる。国籍や背景は発表されていないので不明。動機はさまざまだが、軍服ファン、アニメファンのほか、ネット有名人になりたかったという者もいる」「75年近く前の歴史は、高度経済成長中に育った若者には共感できず、彼らは流行文化の影響を受けながら、現在の不満や経済的な利益から『幼稚で荒唐無稽』な行動に出る。全人代でも罰則を強化する法整備を求める声や、青少年への教育強化を求める声が出た」などと紹介している。
その上で、「中国が次世代の教育や歴史の尊厳維持を考える上で、欧州のやり方は参考になるかもしれない。欧州は悲惨な戦争を反省し、多くの国で民族主義、軍国主義に対して道徳、法律、教育といった面での縛りを設けている。例えばドイツ、オーストリアや一部の欧州諸国ではナチスの記号やジェスチャーを使うことが禁止されている。違反すれば3〜5年の禁固刑に処される懲罰法規がある」とした。
記事は「しかしそれでも、一部の青年がナチスの服を着て騒ぐ事件が後を絶たない。2017年には中国人観光客がベルリンでナチスのポーズをして逮捕され、2016年には台湾で学生がナチスの軍服を着て旗を掲げる騒動があった。インドネシアでもナチスをテーマとしたカフェがオープンした」とし、「『精神日本人』にしても『精神ナチス』にしても、若者の無知が理由だという人がいるかもしれない。しかし、無知で言い逃れができるものではない。欧州人はこのような行為について、歴史を歪曲し、新たなファシズムを生む土壌ができる恐れがあると認識している」と伝えている。