中国のネットサービス大手の騰訊控股(テンセント)が人員カットに踏み切ったとの情報が、市場関係者の注目を集めている。財新記者の取材に応じた複数の社員は、人員カットの事実を認め、その対象が社内の2つのビジネス・グループに集中していると明かした。
ただし人員カットの規模に関しては、「市場で噂されている30%のような、大がかりなものではない」と、これらの社員は口を揃えた。なお3月16日の時点で、人員カットに関してテンセントからの情報開示はない。
現在、テンセントの組織は6つのビジネス・グループで構成されている。今回の人員カットの主な対象は、そのうちのクラウド・アンド・スマート・インダストリー・グループ(CSIG)とプラットフォーム・アンド・コンテンツ・グループ(PCG)だ。
CSIGは、SaaS(ソフトウェア・アズ・ア・サービス)を中心とするクラウド・サービスを手がけている。PCGの傘下にはSNS(交流サイト)、ニュースサイト、動画配信など、メディア・コンテンツ事業の大半が配置されている。
「市場の陣取り合戦は終わった」
テンセント社内のある関係者は、CSIGとPCGで人員の適正化が進められているのは事実としながら、次のようにコメントした。
「社員数が10万人規模の大企業で、年間数千人の社員が入れ替わるのはまったく正常なことだ」
CSIGとPCGは2018年9月に発足した、相対的に歴史の浅いビジネス・グループだ。前出の関係者によれば、PCGは収益の柱である広告収入の伸びが2021年に鈍化し、増やしすぎた人員数の調整を始めたという。
一方、CSIGは(事業の急拡大を予想して)過去3年間で人員を数倍に増やしたが、現実の需要は期待したほど伸びず、同じく余剰人員の削減に踏み切ったようだ。
「かつては市場シェアとユーザー数の拡大がすべてだった。しかし(市場の)陣取り合戦の時代はもう終わり、今後は細分化した市場を深掘りする段階に移っていく」。この関係者はそう締めくくった。
(財新記者:杜知航、屈運栩)