【ワシントン=古森義久】オバマ米大統領にも近い民主党の有力上院議員が沖縄県・尖閣諸島(中国名・釣魚島)を含む中国の海洋領有権主張を威嚇的な独善と断じ、米国政府がもっと強く対応することを求める意見を発表した。同議員はこのままだとアジアでは軍事衝突も起きかねないとする一方、尖閣については日本の統治が国際認知されてきたことを強調した。
上院外交委員会の有力メンバーで東アジア太平洋問題小委員会の委員長のジェームズ・ウェブ議員は、20日の米紙ウォールストリート・ジャーナルへの寄稿論文で中国の領土拡張の野心に対する警告を表明した。
「南シナ海の嵐」と題する同論文はまず南シナ海での中国の領有権主張について、「本土から東はフィリピン、南はマラッカ海峡までの海域を一方的に自国領に併合しようとするに等しい」として非難している。
同論文は、中国が領有権紛争を「2国間でのみ解決と主張しているのは永遠に解決しないか、あるいは自国の主張に合った解決を図るだけという態度を意味する」と述べ、米国が他国の領有権紛争には介入しないとする立場は中国の軍事がらみの膨張をますます許し、軍事衝突を起こすだけだ、と警告した。
同論文はさらに、米国が東アジアの安定の保証役としていまや中国のこうした動きに強固な対応をすることを求めた。
ウェブ議員は東シナ海の尖閣諸島についても中国名を使わず、「尖閣」とだけ呼んで、「その統治は日本の管轄下にあることが国際的にも一貫して認知されてきた」と述べ、事実上、中国の主権の主張を排除する立場を鮮明にした。
同議員はこうした主張をオバマ政権への政策提言の形でぶつけており、同政権の反応が注視される。