中学生が小学生に100円で転売、大人だけの来店も続出…子供食堂を中止 たこ焼き屋店主が決めた新ルールとは? 

「子供食堂をはじめて1週間が経ちました。今までは1日しかした事がなかったので大きな問題はありませんでしたが、 日が経つに連れて沢山の問題が出てきました」と投稿したのは、大阪のたこ焼き屋さん。

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「子供食堂」価格として10円で販売しているのに、買いに来た子供が友達にたこ焼きを100円で転売、大人の来店が続出するなどの問題が起こり急遽中止。再開するためのルールを見直すことを発表しました。

その判断に対して、X(旧Twitter)では、「やっていると色々な問題が出てきます」「大人が転売転売、副業副業言うからだろうか」「善意を踏みにじる行為ですね 楽しみにしてた子どもたちがかわいそう」などの声に加え、「お店で食べることにしたら」などの提案も。

大阪市東淀川区の上新庄にあるたこ焼たこば(@takoyakitakoba)の店主・島田さんにその問題や、改めて定めたルールの背景などを取材しました。

 子どもが毎日お小遣いで買えることを考えて価格設定

8月初旬からはじめた夏休み期間中の子供食堂。通常は6個480円から販売していますが、「子どもたちが自分のお小遣いを握りしめて、通えたらいいなと、10円にしました。100円あったら、10日通えるでしょう」と島田さん。

しかし、実施するなかで、食べ終わった容器の放置があったという近隣施設からの苦情や子どもに付き添って来店した保護者からの「親も10円にして」、あるいは保護者のみで店に来て「子どもは家で留守番してるけど、子どものために買うから10円で」と主張されるなど、さまざまな問題に直面しました。店の前は大人5人が一列になれる広さの歩道があるにも関わらず、車道に停めた車から降りずに、窓から10円を放り投げてきた人も。

「月1回の子供食堂ではわからなかったのですが、いろいろな人がいるなぁと。これは継続的な子供食堂運営で見えてきたことです」と話します。

転売問題が持ち上がったのは1週間ほど経過した頃。「中学生が10円で買ったたこ焼きを、小学生のわが子に100円で売った」との連絡を小学生の保護者から受け、子供食堂の中止を開始から約1週間で決意しました。

「10円で買えるたこ焼きを100円で買うことになった子にかわいそうなことをした、と残念でなりませんでした」。子供食堂の中止およびルール改定後の再開をSNSで伝えるとともに、後日、転売した中学生にも口頭で注意したそうです。

新たに設けたルールとは?

どうすれば、必要な子供たちに届くかを考えた上で、8月12日から再開(9月1日まで)。新たなルールを設けて、店頭で告知することにしました。

・たこ焼き6個50円 お菓子とジュースと「たこば」のシール付き
・1日1回1パックのみ
・購入は自分の分だけ(親や友達による購入は不可)
・お店で食べる、もしくは持って帰って家で食べる

子供が、店頭で「おっちゃん、たこやきちょーだい」と伝えると、島田さんがその子のためにたこ焼き6個を準備してくれます。

取材中、たこ焼きを買いにやってきた母親2人と男の子5人は近隣に在住。男の子たちは、たこ焼きの生地を準備する島田さんに、「それって、だし入れてるん?」「たこは、いつ入れるん?」など興味津々。

母親にお話を聞くと、「以前から気になっていたたこ焼き屋さん。Xのポストを見てやってきました。育ち盛りの息子がいるので、たこ焼き6個50円におやつとジュース付きはありがたいです」。実は昼間に来店したものの忙しそうだったので、夕方に再訪したそう。

男の子たちが「ありがとう!ここのたこ焼きは特においしいって学校で言うわ!」と、帰りぎわに元気よく言うと、島田さんも「ありがとう。みんなに言うといてな~」「ゴミはちゃんとゴミ箱に捨ててや」と返事。このような「子供たちとの会話も楽しみのひとつです」と話す島田さんは、Xでも子供との印象に残る会話を投稿し、地域の子供たちを見守っている様子が伝わってきます。

また「たこ焼きとジュースまで頂けるとは思わず、驚きすぎてきちんとお礼できず失礼しました。夏休み中は食費がかさみます。このような素晴らしい試みをしてくださって、本当に頭が下がります。次回は、親の私が買いに行きます。お身体どうかお大事に」といった親からの感謝のメール、「どこのたこやきやさんよりも中がふわふわしていておいしいです」「あついけどがんばってね」といった、子どもたちからの手書きメッセージは島田さんにとって宝物です。

全国からの応援の声や差し入れも

お盆期間中はXを通じて、取り組みを知った人々が応援のために来店。東京や栃木、福岡など遠方から足を運ぶ人もおり、そのなかには「岩下の新生姜」の岩下和了社長の姿も。差し入れをする人や、応援のためにお菓子やジュースを贈ってきてくれる人もおり、店内にはジュースや水、お菓子などが山積みに。

「個人の方、企業さんなどたくさんの方から手紙やDMでも応援の言葉や励ましの言葉をもらっています。子供食堂を行うことにエールを贈ってくれるのは、ホンマに感謝しかありません」と島田さん。

光熱費や原材料費の高騰で、街のたこ焼き屋は窮地に立たされており、減少傾向。「たこ焼たこば」も13時間営業してお客が0人の日があるなど、赤字経営がつづき自己破産を考えたこともあったそうです。

「おいしくて、大きいたこがしっかり入っているたこ焼きを子どもたちに食べて欲しい」と営業を続ける島田さんにとって、子どもたちの「おっちゃん、ありがとう」はなによりのカンフル剤。「しんどい思いもありますが、この一言で吹き飛びます。やってて良かったって思うんですよ」。

営業時間は、夏は熱中症対策として11時~14時、17時~22時に。仕込みの分が売り切れ次第閉店。混雑する時間帯については、「その日によって違うねん。夕方は部活帰りの子が来る時もあるから」とのことです。

(まいどなニュース/Lmaga.jpニュース特約・宮前 晶子)

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