中華クオリティの被害者。1円でも安くが悲劇。

 15日から一時中止になってしまった「SENDAI光のページェント」。定禅寺通(仙台市青葉区)のケヤキ並木に取り付ける電球を、今年から環境に配慮して消費電力の少ない発光ダイオード(LED)に全面切り替えしたが、そのために必要な部品がショートして出火が相次ぐという皮肉な事態となった。全面再開は早くても20日の見通し。観光への影響も懸念されている。
 通行人が、イルミネーションの幻想的な光景には不似合いな煙に気付いたのは14日午後6時過ぎだった。定禅寺通の歩道上にあるケヤキの幹に取り付けたブレーカーボックスから出ている煙を見た女性が119番通報。電源ケーブルなどが一部、焼けた。午後9時15分ごろにも、最初の現場から西に20メートルほど離れたケヤキに設置されたボックスから出火。実行委員会は、安全確認と原因を調べるため、午後9時半、定禅寺通のすべての電球を消した。
 15日、仙台市役所で記者会見した実行委によると、出火原因は、LEDに送る電流を直流に変える整流器の不具合だった。基盤に部品を取り付けるハンダが一部、量が多すぎて、そこがショートしたという。
 出火したのは両方とも今年から使い始めた整流器で、同タイプは1750個ある。どの箱に同じ整流器が使われたか確認して交換する必要があり、実行委は昨年から使っているものも含めた全2750個の点検を始めた。
 作業を急ぐが、個数が多すぎるため、通りのイルミネーションが全面再開されるのは、早くても20日になる見通しという。
 「ついてないねえ」
 定禅寺通の並木を友人と2人で見上げて歩いていた同区の高校3年生吉野佳祐さん(18)は、主催者側が拡声機で「本日は点灯しません」と告知しているのを聞いて、がっかりした様子。「きれいな仙台の名物だから、早く復旧してほしい」と話した。
 観光への影響を心配する声も出始めた。仙台市観光交流課は「市外や県外の人が、来るのをやめるケースは相当あると思う」。同課によると、昨年にページェントを訪れた人は276万人。期間を長くした今年は、300万人を見込んでいた。県観光課の担当者は「県内で一番来客数の多いイベント。早く再開してもらいたいが、安全第一で、しっかり点検をしてからでないと」と話した。

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