ギョーザ専門店「大阪王将」を運営するイートアンド(東京都品川区)は、2018年10月から大阪王将の新モデル店舗を出店する。同社が「“テクノロジー”を駆使した次世代大阪王将」とうたう新店舗。テクノロジーと中華料理の組み合わせはちょっとピンとこないが、その中身は飲食業界を苦しめる人手不足への対応策だった。
●中華鍋の代わりにハイテク調理機械
同社は17年9月から直営店でこの取り組みを試験的に開始。担当者はこの店舗を「職人レス」と呼ぶ。例えば、中華料理を作るのに欠かせない中華鍋をキッチンから省いた。代わりに置いたのが、中華鍋と比べてもそん色ないチャーハンや炒め物を作れるという特殊な調理機械だ。
「中華鍋は重く、振るのに技術も要るので使いこなせる人が限られていた。女性やアルバイトでは難しい場合が多く、店長や社員が振っていた」(同社の担当者)。中華鍋を扱える“職人”がいなくとも、店舗で料理の品質を下げずに調理をできるようにしたという。
調理の過程全体もIT化している。もともと、既存店でもカット済みの野菜などの食材を店舗に配送する「包丁レス」と呼ぶ取り組みが進んでいた。従業員は店に備え付けのタブレットでチェーン共通のレシピを見て、食材の分量や味付けを確認。カット済み食材や調味料などをこの機械に投入することで、調理技術がそれほどないアルバイトやパートでも料理できるようになった。
●店長を「中華鍋振り」から解放
レシピを見られるタブレットも工夫している。日本語以外の多言語に対応。実は大阪王将の都内にある新店舗では、従業員の9割が外国人。まだ調理に不慣れな外国人のアルバイトも活躍しやすくなり、店長は中華鍋を振る作業から解放されて店舗全体に目配りができるという。
同社によると、このシステムを試験導入した店舗では6~8%の人件費削減につながった。今後、まずは8店舗で展開するという大阪王将の“ハイテク中華料理店”。慢性化する飲食業界の人手不足を救うか。