夕方の歌舞伎町は、ここ数年でずいぶんと様変わりした。小学生のような少年少女がトー横にたむろしているだけでなく、そこかしこの路地では呼び込みをする「コンカフェ」のキャストの姿が大量に見られるようになった。
コンカフェとは、「コンセプトカフェ」の略で、〈学園系〉〈妹系〉などのコンセプトに沿った世界観でキャストが接客をする飲食店だ。お気に入りの店員と1000円程度でチェキを撮ったり、ドリンクを注文して貢ぐこともできるが、営業分類はあくまで「カフェ」。そのため、未成年の就労・来客も可能である。
コンカフェには男性がキャストを務める店もあり、それらはメンズコンカフェ(通称・メンコン)と呼ばれる。いろいろとグレーな部分が多いコンカフェだが、最近特に問題化しているのが、未成年の女性客に高額請求をするメンコンが急増していることだ。
メンコンで働き始めて1年になるハクト(仮名、21)が言う。
「歌舞伎町のバーは24時から朝まで営業している店が多く、昼間から夜は箱が空いているんですよ。だからそこでコンカフェの経営を始める人が増えている。コンセプトなんて店員にコスプレさせればいいから、内装とのイメージがバラバラな店舗とかザラにありますよ」
ホストクラブには厳格なルールが存在するが、メンコンの営業形態は店によってグラデーションがある。
女性の隣に座って接客すると風営法に触れるため、椅子には座らず客の目の前にしゃがみこんで会話をする店や、「指名」すると隣に座れるといったようなオプションがあったり、使った金額に応じてポイントが貯まり店外デートなどのサービスを受けられたりする店もある。
また、キャストと客の連絡手段も店舗による。連絡を一切禁止している店舗、Twitterのダイレクトメッセージのみ可能な店舗、LINEも交換していい店舗などそれぞれだ。
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いずれにせよ、バイト感覚でゆるく働くことができ、客との付き合い方も個人任せの店舗が多いのがメンコンの特徴だ。
「同伴とかアフターとか、未成年の客相手にホストと同じようなやり方で稼ぐキャストもいますよ。あと、売掛(うりかけ)(店に借金をすること)できるメンコンもフツーにある。怖いですよ、中高生に借金させるのは……」(ハクト)
推しのキャストに認知してもらい、特別扱いをしてもらうには、やはり高額を使うのが手っ取り早い。その結果、10万円単位でメンコンにお金を落とす未成年客も後を絶たない。こうした店に通うためにパパ活などで稼いでいる少女も一定数いるという。
「ホストクラブに行けないからと、メンコンに通う未成年の女の子は結構いますね。未成年だと稼ぐ手段が限られてるから、パパ活で売春してる子もいる。未成年以外の客だと、やる気ないイケメンキャストをヒモにしたいと思っている風俗嬢なんかも来ます。メンコンのキャストは基本、時給とドリンクのバックしかもらえないから、カネがある客ならチヤホヤしてもらえる。何にしろ、特別扱いしてもらいたいと思えば、青天井でカネはかかる。バイト感覚で働いているようなキャストのために、未成年の子に人生壊してほしくないなとは思いますね」(ハクト)
グレーな営業が続くメンコンを、警察が一網打尽にする日は、そう遠くないかもしれない。
佐々木チワワ
’00年、東京生まれ。小学校から高校まで都内の一貫校に通った後、慶應義塾大に進学。15歳から歌舞伎町に通っており、幅広い人脈を持つ。大学では歌舞伎町を含む繁華街の社会学を研究している。
『FRIDAY』2022年10月21日号より
取材・文:佐々木チワワ