仙台国税局は26日、相続税や贈与税の算定基準となる路線価に、昨年10月に発生した台風19号の影響を反映させるための「調整率」を公表した。調整率を昨年1月1日時点の路線価(昨年7月1日公表)に掛けると、台風直後の土地評価額を算出できる。宮城県丸森町の一部が調整率0.60となり、最も調整度合いが大きくなった。
東北は宮城、福島両県の全域と岩手県の宮古、釜石、久慈3市と山田町が対象。地目別の調整率は表の通り。宅地は住宅地、商業地、工業地など用途にかかわらず建物の敷地となる土地を指す。
調整率0.60と調整度合いが最大となったのは丸森町牛子、薄平など。同町は0.70とされた地域も多かった。宮城はほかに石巻、白石、角田3市と柴田、大郷、南三陸3町の一部で0.75だった。
福島県はいわき市小川町の一部が0.70、郡山、白河、須賀川、二本松、田村、伊達、本宮7市と鏡石町の一部が0.75だった。岩手県は久慈、釜石2市の一部が0.75だった。
今回公表された調整率は、東北の3県に東京都、栃木など11都県を加えた約5万8000平方キロの地域に約1万6700件設定。東日本大震災後の2011年11月には約6万5000平方キロメートルの地域に約1万6900件設定された。
調整率は現在の復旧状況を加味していない。詳細な調整率は国税庁ホームページで閲覧できる。
[路線価の調整率]贈与税や相続税の算定基準となる1月1日時点の路線価に、災害の影響を反映させるための割合。建物倒壊やインフラ被害、経済活動縮小などの要素を基に決まり、昨年7月1日公表の路線価に掛けて災害直後の土地評価額を算出する。今回適用になるのは、相続税は2018年12月10日から、贈与税は19年1月1日から、ともに19年12月31日までに取得した土地。