丸森・筆甫の伝説、地名の由来… マップで郷土が早分かり

宮城県丸森町筆甫で「地域おこし協力隊」の隊員として活動した玉手孝行さん(33)が、地域の伝説などを地図で紹介する冊子「筆甫伝承マップ」を作製した。柴田町から移住して2年近く、住民への聞き取りを続けてきた。3月で任務を終え、次の赴任地の山形県最上町に移った玉手さんは「住民の交流が深まってほしい」とマップの効果に期待している。
 協力隊は過疎化が進む地域に一定期間、隊員を派遣する総務省の事業で、県内では県が緊急雇用対策として募集。角田市出身の玉手さんは2011年夏、協力隊に採用され、筆甫に移住した。
 マップは筆甫を上区、中区、東山など8地区に分け、それぞれ1枚にまとめた。キツネやタヌキが化けた伝説、伊達政宗の出陣にまつわるエピソード、住民の信仰、地名の由来などを地図に書き加えた。
 自身で描いたイラストも随所にちりばめている。玉手さんが「まったく知識がなくて最初は苦労した」という屋号についても、由来や対応する現在の住宅を一覧表にして脇に添えた。
 マップ作りは1年半ほど前、地元の住民自治組織「筆甫地区振興連絡協議会」の依頼を受けて着手。お年寄りを中心に約200人と向き合うなどして地域の記憶を探った。
 マップは筆甫地区約280世帯に全戸配布される。協議会の引地武男会長は「地元住民が当たり前と思っていても、地区外から見ると貴重なことも多い。マップによって地域資源を後世に伝えられる」と喜ぶ。
 「マップを通じて地域に愛着を深め、人と人の交流が生まれればうれしい」と玉手さん。新たに移った最上町でも同様の活動を続けるという。

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