夏至から数えて11日目の7月2日は半夏生(はんげしょう)。この日に丸焼きサバを食べる風習が残る福井県大野市では7月1日、鮮魚店の軒先で、脂の乗ったサバを焼く香ばしい匂いが漂った。厳しい暑さを乗り切るためサバで精をつけようと、市内外から買い求める客でにぎわった。
同市明倫町の鮮魚・飲食店「うおまさcafe」では、3代目店主の女性(42)ら家族が特設の焼き場で特大のサバを次々と焼き上げた。グリルでじっくりと焼いた後、仕上げに炭火の上に移すと、切れ目から脂が滴り落ちた。1、2の両日で約500本を調理し、遠くは九州や北海道にも発送するという。
石川県加賀市から訪れた男性(72)は軒先で焼きたてを味わいながら「脂が乗ってうまいね。炭火の煙と香ばしい匂いが何とも食欲をそそる」と笑顔を見せていた。
江戸時代、大野藩主が田植えに疲れた農民を思いやり、飛び地のあった越前海岸で取れたサバを丸焼きにし、食べさせたのが始まり。