成人式はその時々の世相を反映してきた。
平成の始まりはバブル景気のまっただ中。式典では歌手のコンサートが催され、新成人は振り袖などの晴れ着を購入して臨んだが、バブル崩壊とともに一変した。
出版社「きものと宝飾社」(京都)によると、着物の販売・レンタルなどの市場規模(推計)は、89年の1兆4600億円から昨年は2875億円まで縮小。安価なレンタルの需要が高まり、バブル世代の親から振り袖を受け継ぐ「ママ振(ふり)」も主流となりつつある。
スマホの登場は成人式の重要イベントといえる記念撮影を根底から変えた。総務省によると、1世帯あたりの年間の写真現像代は、99年の8617円をピークに減り続け、2017年には2611円に。
関西学院大の難波功士教授(若者文化論)は「平成初期の新成人は、趣味やファッションにお金を注ぎ、人生に楽観的だったが、不景気や人口減を経て『そこそこ』の人生を求め、費用対効果を重視するようになった」としている。