事務所のレイアウト変更

 年末も押し迫ったとある日、また社長に呼び出され社長室に向かった。何の話かと思い、面倒臭そうにしていた。社長はこう切り出した。
  「正月に俺の後輩の庄司という奴を営業部長で入社させることにした。もうひとつ部を作るから、会社の机の配置を考えてくれないか。このことは誰にも言うな。」
 ということであった。なぜ誰にもしゃべってはいけないのか、理解できなかったが、僕はしょうがなくレイアウトをしていた。しょっちゅう森副部長が「何してるのや・・。」とチェックにくる。
 一応できあがったので社長に見せに行った。社長は気に入らないようで、社長の言い分を入れて作り直し、社長のOKをもらい実行する日を待った。
 いざ事務所のレイアウト変更の当日である。本当に誰も知らなかったみたいで、何で勝手に人の机を動かすんだって怒り出す人や、いいかげんに締めている人など大変な状態に。僕はただ「社長の命令でやっているだけ。」と言うしかなかった。庄司さんという人が入社するのも知らない人がほとんどである。何故机が増えているのか理解してもらうにはなすすべがない。めんどくさいので僕は庄司さんが入社することを皆に告げ、一応その場を繕った。
 もうどうでもよかった。特に千田部長は手がつけられないくらい怒っていた。
 「なんで俺の机動かすのや。おれ何も聞いてないぞ。電話もないところで仕事をしろってか。どうなっているんだ。」
 こんな感じでからむからむ。一部始終を話、やっと理解してもらった。でも、なぜ社長は部長たちに事前に話をしないのだろう。本当に訳の分からない会社だ。秘密主義というか、いきあたりぱったりというか。下で働いている方は「いいかげんにしてよ。」て、言いたくなるこの頃です。

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