事業再構築補助金、宮城上乗せ分の申請ゼロ 要件・期限の厳格化要因か

新型コロナウイルス禍に直面する中小企業の業態転換や新分野進出を支援する国の「事業再構築補助金」を活用する事業者を対象とした、宮城県による上乗せ補助金が、2月末の申請期限まで1カ月となった1月末時点で「申請件数ゼロ」の異常事態となっている。申請要件や期限設定が厳しい上に、国の手続きや事業者の補助事業が滞っていることも要因。県は早期申請を呼び掛けている。

 県の「事業再構築支援補助金」は2021年3月、20年度一般会計補正予算に計上された。国補助金はテークアウト販売に乗り出すレストラン、オートキャンプ場を新設する建設業者、ロボットや医療機器の部品製造に参入する航空機部品メーカーなどに対し、事業費の3分の2を補助。県は500万円を上限に自己負担の3分の1(事業費の9分の1)を上乗せ支援する仕組みだ。

 県は正確な金額を補助するため、事業者が設備投資などを終え、国から交付額の確定通知を受けた後に申請を受け付けている(図)。県補助金を申請するためには、国補助金の交付手続きがほぼ終了している必要があり、高いハードルとなっている。

 国補助金の第1回公募分は昨年6月に採択され、県内分は84事業者だった。この「先頭グループ」でも約8カ月後には事業を終了して県補助金を申請しなければならないタイトな日程に、東北経済産業局幹部は「『県補助金を申請できる事業者は少ないのではないか』と、当初から県には伝えていた」と話す。

 国補助金の申請処理についても「第1回公募から8000件超を採択し、作業量が多い。事業者から『交付決定が遅い』と指摘されている」と語り、人員体制を強化して迅速化を図っている。事業者からは「半導体が入手できず、事業が遅れている」など、コロナ下での部品不足を訴える相談があるという。

 県補助金は既に20年度から1度繰り越しているため、2度目となる22年度への繰り越しは原則的にはできない。県中小企業支援室は「現在、第1回公募で採択された事業者に対して補助事業の進行状況を確認している。申請漏れがないよう期限の周知に努めたい」と説明する。

[事業再構築補助金]新型コロナウイルス感染症の影響が長期化する中、コロナ後の社会構造変化に合わせて、新分野展開に挑む中小企業などを支援する国補助金。2020年度第3次補正予算、21年度補正予算で事業費計約1兆7600億円を計上。「通常枠」では従業員51人以上の中小企業は8000万円を上限に、事業費の3分の2の補助を受けられる。現在実施中の第5回公募は3月24日に締め切られる。22年度にかけ、さらに3回程度の公募が行われる見通し。

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