二重ローン 私的整理手続き開始 東北4県に支援機関

 東日本大震災の被災者が住宅ローンなど新たな債務を抱える「二重ローン」対策で、被災者の債務免除など「私的整理」に向けた手続きの申請受け付けが22日、始まった。手続きを支援する第三者機関の「個人版私的整理ガイドライン運営委員会」の県支部も同日、東北4県などで発足し、電話相談に応じた。
 支部は青森、盛岡、仙台、福島の東北4市と水戸市に設けられた。地元金融機関などから出向した5~10人程度の担当者が各支部に配置され、本部(東京)を含む計6カ所で相談を受けた。借入先の各金融機関は申請の受け付けを開始した。
 このうち宮城県支部は仙台市青葉区の同県銀行協会内にでき、8人の担当者が電話に応対。支部によると、初日は沿岸部などから100件近い電話があり、具体的な相談は約40件に上った。
 被災者からは「自宅は津波で全壊。住宅ローンが残り、震災後に収入も減った」「事業所が津波被害を受け、新たなローンを組めるか心配」などの相談があった。
 佐藤良憲支部長は「相談は今後、さらに増えると思われる。制度の趣旨をよく理解してもらえるよう、丁寧に説明したい」と話した。
 私的整理は震災でローンが返済できない個人や個人事業主が対象となる。3~4カ月以内に資産や収入の状況に応じた弁済計画を策定。金融機関が計画に同意すれば、被災者は自己破産などを回避でき、生活や事業再建に必要な新たなローンを組める。
 運営委は計画策定を支援する弁護士や税理士らを被災者に紹介する方針。運営委を通じて申し込めば弁護士費用などは国の負担となる。
 相談の受付時間は平日午前9時~午後5時。連絡先は青森017(721)1015、岩手019(606)3622、宮城022(212)3025、福島024(526)0281。

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