五輪商戦”あの手この手 厳しい規制も…「金メダリストと同姓同名なら無料」

「TOKYO2020」「がんばれ!ニッポン!」の商業利用はアウト-。1業種1社の公式スポンサーを前提とした五輪は権利関係が非常に厳しく、“便乗”セールは日本オリンピック委員会(JOC)から「待った」がかかる可能性が高い。そんななか、間隙を縫うような巧みなサービスが続々登場して話題となっている。
 「日本人金メダリストと同姓同名なら無料」。多くのお笑い芸人が出演する東京・新宿の劇場「ルミネtheよしもと」は、ユニークなキャンペーンを始めた。通常の入場料は4500円。名字が同じというだけでも1000円安くなり「メダリストご本人はもちろん無料です」(担当者)。
 平日の日中の公演で、当日入場券が対象。夏季大会のメダリストの名前だけが有効で、漢字は違ってもよい。チケット購入時に確認できる書類を示す。「キタジマ」さんや「ヨシダ」さんにお得なサービスだ。
 こうした「ギリギリセーフ」の商戦を展開せざるを得なくなったきっかけは、1984年のロサンゼルス大会だ。スポンサー企業を1業種1社に絞り、大会ロゴを独占的に使えるといった特権でスポンサー料が激増。一方で公式スポンサー以外の五輪関連ビジネスは警告の対象とされるようになった。
 しかし、商機は見逃せない。全国でホテルやレジャー施設を経営する藤田観光(東京都文京区)は、6都道府県の16施設で特別プランを用意した。
 例えば、ホテル椿山荘東京(同)では、開催年にちなみ出席者50人で202万円の結婚式を提供。箱根ホテル小涌園(神奈川県箱根町)では、1964年東京大会から56年ぶりの五輪となる点に注目し、1人1泊、朝食付き5600円の宿泊プランを設けた。箱根小涌園ユネッサン(同)では五輪カラーを思わせる5色のパンケーキが食べられる。
 クルージング事業を行う「ジール」(東京都港区)は、会場予定地を海から眺めて回るプランの参加者を募集中だ。今月16日開催で、大人3500円、小学生以下2000円で、来月以降も続ける予定という。
 「おめでとう東京」「祝・オリンピック決定」などの使用もダメというなか、企業側は必死で知恵を絞っているようだ。

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