2020年東京五輪の聖火リレーのルート概要が1日、発表された。厳粛な雰囲気があった1964年の前回大会とは様変わりし、国際オリンピック委員会(IOC)が求める「SNS映え」を意識した、イベント色の強いリレーになりそうだ。
1日午前、都内で開かれた記念イベント。アンバサダーを務める俳優の石原さとみさんらが見守る中、聖火リレーのルートが描かれた日本地図が姿を現した。
「前回の東京五輪を知る人は『全然違う』と驚くだろう」。大会組織委員会の幹部はつぶやく。リレーはスポンサーのロゴが入った数台のトラックが大音量の音楽で先導し、車列は数百メートルに及ぶ。ランナーはテレビカメラに向かってポーズを取ったり、メッセージを話したりしながら、聖火をつないでいく。1964年大会の厳粛な雰囲気とは様変わりしそうだ。
背景には、国際オリンピック委員会(IOC)が抱く、若者の五輪離れへの危機感がある。IOCは聖火リレーを「開催直前の大会の興奮と期待感を創出する特別な機会」と定義。若者世代にアピールすべく、インスタグラムなどで「SNS映え」する場所や演出を組織委に求めていた。
組織委もIOCが打ち出す「祝祭性」を重視。1964年大会と違って聖火を分けずにルートを「一筆書き」にして価値を高め、通過地点には世界遺産や伝統芸能をふんだんに盛り込んだ。結果的に、「復興五輪」の理念もさることながら、日本各地の魅力を国内外に発信する意味合いが強いルートになった。