東京オリンピック・パラリンピックを巡る談合事件で公正取引委員会は、組織委員会が発注したテスト大会と本大会の運営業務の契約で談合をしたとして広告大手の電通と博報堂(いずれも東京都港区)など法人6社を独占禁止法違反(不当な取引制限)容疑で28日に検事総長に刑事告発する方針を固めた。現場で談合を進めた6社の幹部ら6人と組織委大会運営局元次長、森泰夫容疑者(56)=同容疑で逮捕=の計7人も告発する。関係者への取材で判明した。 【フローチャート】五輪談合はこういう構図 特捜部は28日にも告発を受け、6社と7人を同法違反で起訴するとみられる。公取委と特捜部は広告大手「ADKホールディングス」(港区)も談合に加わったとみているが、公取委に対して最初に談合を自主申告した事業者に刑事告発や課徴金納付の免除を認めた「課徴金減免制度」(リーニエンシー)に基づき、刑事告発の対象から外れる見込み。 関係者によると、告発対象は電通、博報堂、東急エージェンシー(港区)の広告3社と、セレスポ(豊島区)、セイムトゥー(千代田区)、フジクリエイティブコーポレーション(FCC、江東区)のイベント3社。特捜部は電通、セレスポ、FCCの3社から1人ずつ役員らを8日に逮捕しているが、公取委はこの3人に加え、博報堂、東急エージェンシー、セイムトゥーからも1人ずつ役員らを告発する見込み。 電通は24日にグループの五十嵐博社長が特捜部の任意聴取に応じ、社員が談合に関与した責任を認めた。同様に博報堂、東急エージェンシー、セイムトゥーも社員の関与を認めているが、セレスポは容疑を否認しているという。 告発対象になるとみられる6社にADKを加えた7社は2018年2~7月ごろ、テスト大会の計画立案業務の競争入札で落札予定者を事前に決定することで合意し、互いの競争を制限した疑いがある。7社はその後のテスト大会や本大会の運営業務も特命随意契約で受注しており、受注総額は400億円規模になるとみられる。独占禁止法は不当な取引制限をした場合は法人に5億円以下の罰金、個人に5年以下の懲役または500万円以下の罰金を科すと定めている。【柿崎誠、二村祐士朗】