「五輪貴族」たちの暴走、横暴がますます加速している。「ぼったくり男爵」の異名を取るIOC(国際オリンピック委員会)のバッハ会長は、五輪のために「犠牲を払わなければならない」と言い放ち、最古参のパウンド委員は「仮に菅首相が『中止』を求めたとしても、それはあくまで個人的な意見に過ぎない。大会は開催される」と言ってのけた。IOCがどこまでエライのか知らないが、もはや日本人には人権がなく、日本は主権国家でさえないと考えているような発言だ。
【写真】選手に配られるコンドームは、男性器に装着すると浮世絵のデザインが浮かび上がる仕組みになっている
大袈裟ではない。IOCは本気で五輪を「治外法権」だと思っており、あろうことか日本政府がそれを容認しているのである。5月31日の与野党会合で明らかになったのは、五輪選手村が「宴会OK」とされることだ。内閣官房の東京オリンピック・パラリンピック推進本部事務局が野党4党に説明したところによると、選手村では自由に出前が取れることになっており、そのなかには酒も含まれるという。選手個人が酒を持ち込むことも禁止されていないし、祝勝会の要望があれば日本の業者が酒や料理を届けるのだそうだ。
当然、野党からは反発の声が上がったが、「選手村はもともと交流の場」という理由で政府は押し通そうとしている。日本国民には「酒は飲むな、出すな」と言い、ワクチンは接種完了がわずか3%程度なのに大会関係者には優先接種、庶民の交流の場に時短営業を強いているのに、選手村の中ならドンチャン騒ぎも黙認なのだ。
「本当に五輪はやめてほしい。このニュースを見て、もう国や都の要求は無視することに決めました。明日からはお酒も出します。罰金を取られてもいい」
都内の居酒屋経営者はそう語り、すでに常連のために用意したという「裏メニュー」を見せた。闇営業は褒められたことではないが、国民には“禁酒”を要請して外国人選手たちには酒を提供、国内のイベントも学校の運動会も軒並み中止なのに、オリンピックは「国民が反対しても開催」というのでは、人心が離れるのも当然ではないか。
さらに、ここにきてネットで話題になっているのが選手村でのコンドーム配布計画だ。組織委員会によれば、国内4社のコンドーム16万個が各国選手に「おみやげ」として配られるのだという。コンドームの配布自体は1988年のソウル五輪以降、慣例化しているもので、IOCの大義名分としては「エイズ撲滅の啓蒙活動」だが、実際は「五輪選手村での風紀の乱れはどの大会でも問題視されてきた。選手間の性病蔓延や妊娠トラブルなどを防ぐためもあって配っている」(ある競技団体元幹部)という裏事情がある。
組織委は「IOCからは引き続き実施するよう求められている。配布方法は検討中」としており、ここでもIOCの言いなりだ。選手村での「濃厚接触」を助長するようなコンドーム配布に世論が怒るのは当たり前だし、このニュースが世界を駆け巡ると、中国やシンガポールなどアジア諸国からも「日本の組織委はおかしい」と批判的な報道が相次いでいる。
しかも、配られるコンドームの一部には、男性器に装着すると浮世絵が現れるデザインのものまであり、ネット上には「浮世絵を体液まみれにするのか」「間違ったイメージが海外で広がる」「これがクールジャパンですか」と、失望と疑問の声があふれた。春画では男性器が誇張されて描かれることから、海外では「ウタマロ」という言葉が「巨根」を表す隠語として使われている。メーカーはジョークグッズとして作ったものだろうが、それを日本政府が外国人選手に配れば、日本人に対する差別や誤解を招く恐れもあるだろう。
戦後、日本に乗り込んできたGHQ(連合国軍総司令部)は、日本政府にGHQ専用の売春宿を作るよう求め、軍人たちは飢えに苦しむ日本人を使役して、自分たち専用の酒場で連夜の宴会を楽しんだ。まさか敗戦から76年も経って、それとそっくりな屈辱的な光景を見るとは誰が想像しただろうか。これでも菅義偉・首相はまだ、「安全・安心な大会」と馬鹿の一つ覚えを繰り返して、五輪貴族による占領統治を受け入れるつもりなのか。