亘理・わたり温泉 民間譲渡し再開も 町が負債一括償還方針

宮城県亘理町は3日、東日本大震災で被災し休止中の町営温泉施設「わたり温泉鳥の海」(同町荒浜)の建設費に充てた地方債の残高9億1130万円を2013年度中に一括償還する方針を固めた。民間に譲渡しての再開も視野に入れ、リスクを軽減して参入を促す。
 一括償還に掛かる経費は一般会計の財政調整基金などを充当。町は6日開会の町議会12月定例会に、関連事項を盛り込んだわたり温泉の特別会計補正予算案を提出する。
 温泉は鉄筋5階で2008年2月に開業。休日で平均230人が利用し、荒浜観光の拠点を担った。建設費11億6000万円は地方債で借り入れ、10年度から20年間で償還する計画だった。
 しかし、震災の津波で施設の1階が損壊して経営を休止。12年4月から来年3月まで、震災がれきの処理施設を運営する共同企業体(JV)の宿舎として貸し出している。源泉には問題がなく、町は賃貸料収入の約5億7000万円で施設の復旧工事を行い、再開を目指す。
 休止中も償還は継続され、13年度分は元金と利子で計約8700万円。一括償還により、累計で約1億1000万円の利子が軽減されるという。
 町商工観光課の担当者は「施設周辺はまだ復興途上であり、経営のリスクを軽減するにはリセットが必要。借金がない状態なら、直営の継続に加えて専門のノウハウを持った民間への委託や譲渡などの選択肢も持つことができる」と説明する。

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