交流の中心にワイナリーを 新規就農の男性、ブドウ栽培に奮闘

宮城県七ケ宿町にワイナリーの設立を目指し、新規就農した男性が奮闘している。白石市の荒井謙さん(33)は2年前から町内でワイン用のブドウを栽培。廃業予定だった果樹園を継承し、リンゴのシードルなども醸造する計画で「ワイナリーは観光につながる。人の交流を増やすお手伝いができればうれしい」と夢を描く。

リンゴ園継承、シードル醸造計画も

 荒井さんは「Yuzfarm&vineyard(ユズファーム・アンド・ヴィンヤード)」を設立して2020年、ブドウ栽培を開始。七ケ宿の滑津、関の両地区でシャルドネやピノノワールなどワイン用とシャインマスカットなど生食用を育てる。

 これまでに600本の苗木を植え、今年は新たに900本の定植を予定する。苗の成長に時間がかかるため本格生産はまだ先だが、2年目の昨年は約50キロのワイン用ブドウを収穫できた。他地区産とのブレンドではあるが、七ケ宿産ブドウを使った初のワインが近く完成する見込みだ。

 目指すワインは「繊細さや酸味など味わいを大事にしたい」と荒井さん。「普段から飲んでもらえて、和食などに合わせられたらいい」と言う。

30歳で退社、「思い描く醸造手がけたい」

 白石市出身の荒井さんは進学した東京の大学で、山梨大ワイン科学研究センター長を務めた教授と出会い、ワイン研究に進んだ。大学院修了後、長野県のワイナリーに就職し、ブドウ栽培や醸造、直営店の運営に携わった。

 「自分の思い描くワイン醸造を手がけたい」。思いが高じ、就農を決断して30歳で退社。父方の実家があり、適度な寒暖差がある七ケ宿町をブドウの栽培地に選んだ。昨年3月には町の認定新規就農者になった。

 さらに畑に隣接する後継者がいない町内最後の果樹園を承継。栽培するリンゴを原料に、シードル醸造にも着手した。醸造向きの品種栽培を検討中で、近くリンゴ園再生に向けた有志団体を設立する考えだ。

 荒井さんは「いずれはシードルも造ろうと考えていた。大変だがいいチャンスをもらった。ブドウ栽培と合わせ、リンゴ園の復活に向けて進みたい」と話す。

 24日にブドウの苗木を植えるイベントを予定し、参加者40人を募集する。希望者はユズファームのホームページから申し込む。

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