政府は22日、取引先との接待や懇談などで使う交際費の一部を経費(損金)として認めて税負担を減らす特例措置について、平成29年度末までだった適用期限を、31年度末まで2年間延長する方向で検討に入った。引き続き企業に飲食店などでの接待を促し、消費の拡大を通じて経済活性化を図る方針だ。厚生労働省の30年度税制改正要望に盛り込む。
交際費課税に関する特例措置は法人税などの税収減となるため時限措置となっているが、依然として日本経済の消費の伸びが弱いことから、政府は適用期限を延長する方向で調整する。
政府は25年度税制改正で、資本金1億円以下の中小企業に限定して交際費を損金に算入する制度を拡充し、従来は「交際費の9割、最大600万円まで」だったのを、「交際費全額を最大800万円まで」損金として算入できる仕組みとした。
さらに、26年度税制改正では、新たに資本金1億円超の大企業も対象に含めて、上限なしで交際費の50%まで損金算入できる仕組みも導入した。中小企業は両者のうち有利な方を選べるようにした。
損金は法人税を計算する際に収益からコストとして差し引けるため、損金に算入できる範囲が広がると課税対象となる所得が減り、税負担が軽くなる。交際費に関する企業の税負担を減らすことで、飲食店での接待需要を促すことを狙っている。
交際費の一部を税法上の損金に組み入れ税負担を減らす制度は、飲食業界を所管する厚労省が要望していたものだが、麻生太郎副総理兼財務相も「波及効果が大きく、やった方がいいと思っている」などと強い意欲を示して導入された経緯がある。