人口減対策「他に何をすれば」 「消滅可能性」宮城県内19市町、名指し自治体困惑 対象外の首長は手応え「政策継続実る」

経済界有志らでつくる民間組織「人口戦略会議」が公表した報告書では県内の全35市町村のうち、半数を超える19市町が存続困難な「消滅可能性自治体」となった。名指しされた自治体の住民や首長には不安や戸惑いが広がる。対象から外れた自治体からは地道な政策が功を奏したとする声が上がった。

 各市町村の分析状況は表の通り。19市町は30年後に20~39歳の若年女性人口が5割以上減ると推計され、将来は消滅する可能性が高いと判断された。減少率が最も高いのは丸森町で75・6%だった。

 学識経験者らでつくる日本創成会議が2014年に発表した報告書では、23市町村が消滅可能性自治体とされた。今回は4減となったが、消滅可能性のある19市町のうち14市町は若年女性人口の減少率が悪化した。

 死亡数が出生数より多い自然減、転出が転入を上回る社会減の双方への対策が喫緊の課題となる「構造的に深刻な自治体」には県内で唯一、川崎町が該当した。小学生の息子2人を育てる町内のアルバイト女性(37)は「教育環境の不安などを理由に子どもの就学・進学に合わせて転出する人が多い。早く手を打たないと予想より早く町が消える」と危機感を募らせる。

 小山修作町長は「11年の初当選以降、(自身の)給与の一部カットで財源を確保し、子育て支援の充実を幅広く手がけてきたのだが」と戸惑いを隠さない。「他に何をすればいいのか。国全体の人口が減り、いずれはどこの市町村も立ち行かなくなる」と人口減に歯止めをかける抜本的な対応を国に求めた。

 前回発表から一転、消滅可能性自治体から外れたのは、東北唯一の「自立持続可能性自治体」となった大衡村、「その他の自治体」の塩釜市と山元、美里両町の計4市町村。東日本大震災の津波で大きな被害を受けた山元町は、内陸側に移設したJR常磐線山下駅周辺に新市街地を整備。被災者の集団移転や商業施設誘致を進め、子育て世代の定着を促した。

 橋元伸一町長は「移住者の住宅取得を支援する手厚い補助金交付事業の効果があった。一時的な支援にとどまらず、継続的にサポートする施策を打ち出し、若者に選ばれる町にしたい」と語った。

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