人気の男女“相席”居酒屋、女性無料でも儲かる?

女性が飲み放題無料なのに対して、男性がやや割高な時間料金を支払う。そうして見ず知らずの男女を相席させるというシステムで、出会いを求める男性と、安く飲み食いしたい女性のニーズに一挙に応える「相席系居酒屋」が注目を集めている。
 女将が婚活希望の客を無料で占い、相性がいい男女を相席させる東京・品川の青物横丁にある居酒屋「四万十」がテレビなどで話題となると、今年の3月には、現在全国9店舗を展開している相席居酒屋チェーン「相席屋」の1号店が赤羽に開店。さらに11月7日に「相席酒場」という後発店が歌舞伎町に1号店をオープンさせた。
 このように熱いムーブメントを起こしている“相席”ビジネス。相席酒場では、女性は飲み放題に加えて枝豆などの簡単なおつまみを一人2品まで注文できて無料。男性は30分1500円(税別)で飲み放題だが、女性と相席になるまでは1杯500円となっている。いくら男性が多めに支払っているとはいえ、女性はいくら飲んでも無料というシステムで、店は利益を生み出せるのだろうか。同店で店長を務める池田尚輝氏に話を聞いた。
●無料の女子会?採算度外視で定着図る
「当店の場合、1日で50人ほどの男性客が女性客と相席していただければ、ビジネスとしては成り立ちます。ただ現状、男性客が来店するピークは21時から22時で、女性客のピークが19時から20時と、入れ違いになってしまうパターンが多く、そうなると女性は女子会を無料でしただけとなるので店としては正直痛手です。しかし、店自体に満足してもらえればリピーターとなりますし、次回来店時に男性とマッチングしてもらえればいいのです。目先のことだけでなく、若い女性に定着してもらうことを重視して考えています」
 採算を度外視した試みで20代前半から30代後半の男女に浸透しており、現在の男女比はちょうど半々くらいとなっているそうだ。しかし、似たようなシステムの相席屋が先行しているが、後発店としてはどのようなところで差別化を図っているのだろうか。
「まず店内スペースをかなり広く取っていて、テーブルも大きいです。相席屋さんよりも、かなりゆったりとお酒と出会いを楽しめることと思います。少し豪勢な和風の内装も、男女ともに評判がいいです」(池田氏)
 実際に相席酒場に行ってみると、店内は確かにスペースにゆとりがあり、隣の客の会話などが気になって話に集中できない、といったことはなさそうだ。
●二次会も同店内で
「店内にはカラオケルームとダーツルーム、Wiiルーム(すべて室料別)を設けており、通常のテーブルで盛り上がったグループは、そのままそちらに移動できるようにしています。お店を変えずに違うことを楽しめるので、時間の節約にもなります」(池田氏)
 心地よく酔っているのに、次のお店を決めている間に盛り下がってしまうことはよくある。だが同じ店内で二次会に流れられればその心配もないため、客にこのような部屋を利用してもらい、なるべく長い時間お店に留まってもらおうというのが店側の狙いのようだ。
 出会いの場がビジネスになることは、街コンブーム等が証明しているので、この相席ビジネスも若者から大人の男女まで今後広く根付いていくことも十分に考えられる。そして、同じ相席系居酒屋という業務形態でも、相席酒場のように色々なスタイルの店舗が全国各地に続々と誕生するだろう。出会いビジネスの可能性は、まだまだ掘り尽くされていない。
(文=A4studio)

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