人気セクシー女優が訴えるAV新法のリアルな窮状「女優の生活、人生を左右していることを考えて」

 2023年4月4日、「AV産業の適正化を考える会 シンポジウム」が都内で開催された。当シンポジウムは、2022年6月に施行された「AV出演被害防止・救済法」(AV新法)の改正を求める「AV産業の適正化を考える会」が主催している。
 2回目となる今回は、「人権保護とAV製作を両立するにはどのようなルールが必要か」を軸に、ポスト適正AVにおける出演被害対策と表現の自由・職業選択の自由の両立についてが活発にディスカッションされた。

◆国会議員や現役セクシー女優が登壇

 ファシリテーターはセックスワーカーの権利を求める活動を行う要友紀子氏が務め、AV産業の適正化を考える会からは、発起人の二村ヒトシ氏と顧問である制度アナリストの宇佐美典也氏、弁護士の平裕介氏が出席。

 各政党からは、NHKから国民を守る党の参議院議員 浜田聡氏、国民民主党の東京都第29区総支部長 たるい良和氏、日本維新の会の衆議院議員 堀場さち子氏のほか、立憲民主党の参議院議員 川田龍平氏も参加。

 さらにパネリストとして、AFEEエンターテインメント表現の自由の会代表の坂井崇俊氏、関西大学社会学部教授の守如子氏、現役セクシー女優の星乃莉子さんが登場。さらに、一般参加者50名、関係者50名の約100名も参加していた。

◆表現の自由や職業選択の自由の問題も

 まずは宇佐美典也氏が「AV新法改正議論とポスト『適正AVについて』」という議題を挙げた。宇佐美氏は適正AV誕生の経緯に触れながら、これがきわめて短期間に立憲され、かつできあがる過程でAV業界の当事者の声が聞かれなかった実情を報告。「AV新法が過剰規制であり、表現の自由や職業選択の自由の領域まで踏み込んでいるのでは?」と提言した。

 これを受けて、堀場さち子氏は「AV新法によって、救われなきゃいけない女性は救われている。一方でこの法律によって困っている女性がいることも考えなくてはならない」と語っていた。

◆「AVを潰しにかかっている法律である」

 続いて平裕介氏は「職業選択の自由の観点からもAV新法は見直されるべきである」と強く主張した。現状ではAV新法には職業選択の自由、営業の自由、表現の自由などのキーワードが存在していない。たった3か月で急ごしらえされた法律であるがゆえか、そういった面はまったく考慮されていないという。

 たるい良和氏は、「AVがなくなればいいと思っている議員は多い」とし、AV新法については「AVを潰しにかかっている法律である」と言及した。

 さらに坂井崇俊氏はエンタメの立場から、これまで日本では漫画・アニメ・ゲームなどの娯楽も厳しく規制を受けてきた歴史を紹介。「誰も傷つけない表現はない」としながら、AVにおける表現の自由についても主張をした。

◆現役セクシー女優「尊厳が害されていると感じている」

 守如子氏は「女性の中にもAVを見ている人はいる」と語った。

 フェミニズムの立場から、男性によって性から遠ざけられてきた女性たちにも性に関する情報や、性表現は重要であると主張。その上で、「AV新法は女性を救済する視点ばかりで当事者が置き去りになっている」と、改正に賛同すると同時に、「撮影・公表についての熟慮期間の設定ではなく、どのような出演者も不利にならないシステムの構築が必要なのでは?」と考えを提示した。

 そして現役セクシー女優である星乃莉子さんも、AV新法への疑問を吐露。「何も知らない人たちから活動を制限されたり、真剣に取り組んでいる人たちを被害者と決めつけられたりすることで、尊厳が害されていると感じている」と真剣な眼差しで語った。

 さらに「特に今は企画単体の女優さんたちの生活、ひいては人生が左右されている。そのことをもっと考えて欲しい」と、共に業界で働く女性たちの気持ちを代弁して現状を訴えていた。

◆変わっていくのは悪いことではないが…

 シンポジウムの最後に、二村ヒトシ氏は語った。

「エッチなものはこれまで愛されながらも嫌われてきた。世間から問われて変わっていくことは、決して悪いことではない。しかし、だからこそ安全でありながらも、楽しませることができるエロの表現を失くしてはいけないと思う」と、AV新法改正に向けての強い決意を改めてうかがえるひと言だった。

 シンポジウムが幕を閉じた後、記者が星乃莉子さんに声を掛けたところ、快く撮影に応じてくれた。AV新法に対しての率直な印象について、星乃さんは「私の表現の自由が奪われることになる法律だと思います」とキッパリと断言。さらに「自分の望まない仕事に就く悲しい女の子が増えないよう、声が届くことを願っています」とも語っていた。

 AV産業の適正化を考える会では、引き続きオンラインで改正に賛同する署名を募っていく。最終的には10万筆を目標としているという。

<取材・文・撮影/もちづき千代子>

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