「“朝が起きられない”、“寝床に入っても寝付けない”そんな人が増えています」こう語るのは、快眠コーディネイターの力田正明(りきたまさあき)さん。
眠りが美容に大きな影響を与えることは、すでに『美レンジャー』でも多々ご紹介してきましたが、それ以上に恐ろしい影響があることを力田先生に教えてもらいました。たくさんの相談を受けてきた、力田先生いわく睡眠は「その人の人生に大きく影響を与える」のだとか。
いい睡眠が崩れると体がダルくなる……。すると仕事などの生産性や効率性が著しく低下します。さらに進むと起きれなくなり、会社や学校に遅刻し、解雇や学歴に影響を与えるようなことにつながるというのです!
なぜそんなに睡眠が大切なのか、力田先生にしっかりと教えてもらいました。
■夜眠ることは遺伝子に組み込まれている
人の体には200以上のリズム(たとえば血圧のリズムや体温のリズムなど)があるといわれています。それらをコントロールしているところが、体内時計と呼ばれるものです。そして人が一番影響を受けているリズムこそ“地球の自転リズム”です。
朝になると活動して夜になると眠るというリズムは、人の遺伝子に刻みこまれています。しかし今の日本は、24時間社会という眠らない社会。夜遅くまで遊んだり仕事したりは当たり前になっていますよね。人はこの激変の社会リズムに同調できないため、もはや日本は世界一の睡眠障害大国とも言えるのです。
■体内リズムが狂うと心も体も調子が崩れる
では、体内リズムが崩れるとどんな影響があるのでしょうか? 本来だと昼間は、活動を活発化させる交感神経優位の状態で人の体は活動します。そして夜間は、リラックスする状態(副交感神経優位)になって、体の機能が低下するのが自転リズム。
昼夜逆転の生活になると、その働きが低下してしまうため、寝ていても交感神経系が働いている状態が続くため、夜もリラックスできなくなります。
■昼夜逆転によって心と体に出る悪影響とは
さらにリズムが狂うことにより、ホルモン分泌や深部体温リズムなども大きく狂ってしまうのです。その影響は、まず肉体面よりも精神面にでることが多く、例えば、以下のような影響があるとのこと。
(1)感情コントロールの低下
(2)意欲の低下
(3)記憶力の低下
(4)思考能力の低下
そして、体の影響もとっても恐ろしいもの! 先生いわく以下のような影響が考えられるのだとか。
1)免疫力の低下
(2)生活習慣病リスクの増加
(3)循環器系機能の低下
(4)身体回復機能の低下
(5)慢性疲労症候群の発現
(6)骨粗しょう症リスクの増加
最後の骨粗しょう症は意外ですよね。実は、太陽に当たらない生活をしているとビタミンDに欠乏が起こり、カルシウムを吸収しなくなるため、骨も弱ってしまうというのです。
■朝たっぷりの太陽が睡眠ホルモンを活発化
睡眠にかかわる一番大事な睡眠ホルモンが“メラトニン”。このホルモンは、太陽光を浴びてから14~15時間後に分泌がはじまり、眠気をもたらします。
しかし、昼夜逆転の生活で太陽を浴びないと、このメラトニン分泌リズムが正しく機能しません。また、明るいオフィスやコンビニなどのもとでは分泌が抑制されます。
メラトニンを活性化させるためには、まず朝にたっぷり太陽の光を意識的に浴びること。そして夜は強い光を避けて部屋の光もライトダウンして。携帯電話やPCの画面の光は、青色が多く含まれているので、脳は覚醒方向に働きます。
寝る前や寝床に入ってからのパソコン・携帯利用は厳禁!
昼夜逆転の生活を続けていると、修復不可能なレベルまで破壊されてしまうことも……。そうなる前に体内リズムを本来通りに戻してあげましょう。